「特変」結成編4-3「フツーの青春(3)」

あらすじ

「痛いの痛いの飛んでけー。痛くなくなったら、かき氷が食べられるよー」☆「「特変」結成編」4章3節その3。迷子のヨシツネを無事あるべき場所へ送り届けた若者一行、避暑を求めます。その果てに辿り着いた絶句の光景、これだって伏線のうちなのです。

↓物語開始↓


 ハプニングを無事突破した一行のデート的なアレはまだ続く。


Face_kenichi

さて、何となく外に出たものの……


Kenichi

 あんまり当てもなく歩くのは得策じゃない。
 何故なら、暑いからだ。


Face_kenichi

俺的に花粉の季節が去ったのは嬉しいんだけど、早く秋が来てほしいなぁ


Face_so

えー良いじゃん夏、若者はやっぱり夏でしょー!


Face_kenichi

謎理論だが、まぁ分からないわけではないな


Kenichi

 一番はっちゃけて遊んでるイメージがあるもんな夏。


Face_so

ケンパイって今まで夏休みとかどうやって過ごしてるのー?


Face_kenichi


Face_so

うわぁ……


Kenichi

 つまんねー、みたいな反応を戴いたが、これは冗談抜きで家一択だ。


Kenichi

 亜弥はもう大丈夫だからと云ってたが、まぁ過剰なのは認める……認めるが、心配で仕方ないのだ。トラウマとも云う。


Kenichi

 だから用事が無ければ俺は家に、亜弥と一緒に時間を過ごす。


Face_kenichi

お前は? イメージだと満喫してそうだけど


Face_so

モチノロン! 海にも行くしプールにも行くし、キャンプも縁日も花火大会も必須だねー!


Face_nagi

毎年ソレに附き合わされるこっちの身にもなりなさいよ。また水着新調しないといけないじゃない


Face_so

あー私もおニューにしないと……多分キツくなってるよねー……


Face_fui

……………………


Kenichi

 譜已ちゃんの眼が死んだ。本日二度目である。


Face_kenichi

そういや真理学園って水泳の授業とかないのか? あんなに施設充実してるし海もあるんだから体育に含まれててもおかしくないな、とか思ってたんだけど


Face_so

あー普通にあるね、一般クラスは……ケンパイ何で1学期プールの授業無しにしたの?


Face_kenichi

したわけじゃなくて単純に失念してたというか。まぁ今回修学旅行で試験期間前倒しにされてたっぽいし7月は無理だったかなぁ。6月にプールってのもちょっと早い気もしたし……


Face_so

いーじゃん6月でもー充分夏といえば夏だよー。てことでギルティ!


Face_kenichi

また有罪判決かよ……んで、その罰は?


Face_so

夏休み一緒に遊ぼー! んで、おニューの水着、まだ買ってないけど見せてあげるー。先輩冥利に尽きるでしょ


Face_kenichi

先輩後輩の関係とどこら辺で繋がりあるのかは分からんが、さっきも云ってたように俺は家でだな


 という夏休みの過ごし方談義に話を咲かせながら歩いていると、一行の目にあるお店が映る。


Face_kenichi

ここは……


Face_so

この広場、いっつも色んな出店があるんだよねー。夏だとやっぱり冷たいものいっぱい売ってる……あ、かき氷あるよ! 行ってみよーよー先輩大好きー💕


Face_kenichi

さりげなく奢ってもらおうアピールしてくんなや。でもかき氷か……市販は食べたことないな……


Kenichi

 俺は亜弥にかき氷名人と呼ばれてるわけだが、そろそろ外の世界と比べて俺がどの程度の実力者なのかを知っても良い頃合いかもしれない。


 ってことで出店してるかき氷の屋台に歩を進める。


Face_mother

食べ物持って走っちゃダメよー


Face_gaki

えへへ~ふっわふわおいしー!!


Face_kenichi

ほう……ふわふわしてるのか。丁度良い、我が家もふわふわ派だ、真っ向勝負というわけだ


Face_nagi

コイツ食べ物絡みになると若干めんどくさいわね


Face_so

へー結構シロップ種類あるんだねー、あ、すいませーん4つお願いし――


Face_saya

はーいいらっしゃ――


 列ができていないのが不幸中の幸いってレベルで場がフリーズした。


Face_kenichi

――――


Face_fui

――――


Face_so

――――


Face_nagi

――――


Face_saya

――――


Kenichi

 !?!?!?
 ?!?!?!
 !?!?!?


 夏で、しかも外で販売するには相性の良いといえる、肌見せの激しいウェイトレスファッションで、彼らの見知った人物、というかクラスメイトが、顔は固まりながらも腕でかき氷器を回していた。


 軈て、時は動き出す――


Face_saya

はい、4つですねー。シロップはいかがしますかー(←笑顔)


Face_kenichi

………………イチゴとメロン2つずつ


Face_saya

かしこまりましたー少々お待ちください、合計1520円となりまーす


Face_kenichi

……はい


Face_saya

2000円、お預かりしますお釣り480円お確かめくださいませ――


Face_so

………………


Face_fui

………………


Face_nagi

………………


 貼り付いた笑顔は、器用にメタメッセージを叫んでいた。
 「叫べば殺す」と。


 ということでそれぞれ冷たいかき氷を各々受け取ってすぐにそこから立ち去った4人。
 といってもその問題の出店の近くにあったベンチに座ったのだった。


Face_kenichi

……気付けばベタなものを選んじまってたなぁ……


Face_kenichi

……美味えなぁコレ、ふわっふわや……やっぱ機械がいいのかね……なかなかやるじゃん


Face_so

譜已ちゃん、イチゴ味も食べてみる? あーん……


Face_fui

あ、あーん……じゃあ、私のメロン味も――


Face_nagi

……普通に全額支払ってたけどいいのかしら?


Face_kenichi

ああ……いいよ、奢りってことで


Face_so

あざーす……


Face_fui

あ、ありがとうございます……


Face_nagi

ゴチ


 会話はしてるし味わってはいるが、全員視線は出店……というか店員に釘付けだった。


Face_kenichi

…………アイツ、何やってるんだろ……


Face_nagi

何って、決まってるじゃない……働いてるんでしょ、バイトで……


Face_so

すっごい、スマイルだったよね……


Face_fui

流れるような、動きです……


 その後もなかなかのペースでお客さんが現れ、ふわっふわなかき氷を提供していた。
 絶えないお客の前で、店員のスマイルも絶えなかった。


Face_gaki

あいたっ!


Face_saya

……!


 さっきかき氷を買って貰って燥いでいた子どもが転んだのが沙綾の視界に入った。
 回し始めた。


Face_gaki

うわーーーん!!


Face_mother

だから云ったのよー……あー折角のかき氷が……仕方無いわね、怪我とかしてない、大丈夫


Face_gaki

いたいぃぃぃ……!! 肋骨にクリティカルしたぁぁぁ……!!


Face_kenichi

あ……


Kenichi

 店員出てきた……。


Face_saya

はい、イチゴとバナナの4:6ミックスです、どうぞ


Face_mother

え――? あ……!


Face_saya

大丈夫? どこか痛い?


Face_gaki

肋骨にクリティカルしたぁぁぁ……


Face_saya

そっか、肋骨にクリティカルしたのか。じゃあお姉さんが呪文を唱えてあげよう


Face_saya

痛いの痛いの飛んでけー。痛くなくなったら、かき氷が食べられるよー。だから、痛いの痛いの、飛んでけー! ほら君も一緒に! せーの――


Face_gaki

……いたいのいたいの、とんでけー……!


 痛み的な何かを両手で掴んで、投げるようなジェスチャーの全國共通の呪文。
 因みにこれはきっと完全に偶然の筈だが、痛みを投げている方向にはずっと彼女を凝視してる面々が矢張り凝視し て座っていた。


Face_saya

お、泣き止んだね。強い子強い子ー(←なでなで)


Face_gaki

え、えへへ……おねーちゃん、ありがとー!


Face_mother

あの、これ……


Face_saya

「おもてなしは0円」がヴァイスベリーズのモットーですので。それでは


Face_saya

またのご利用を。そして気をつけてね


 と、親子に、そしてソレを見ていた広場の客たちにゆっくりと身を回転させながらお辞儀も回す。


 途端に拍手があがった。


Face_customer

おぉぉ、凄いなあの子、何て素敵な接客姿なんだ……! あと可愛い!


Face_customer

きっと子どもが大好きなんだろうなぁ……! そして可愛い!


Face_customer

将来が楽しみだなぁ……あの子の旦那さんになる奴が羨ましいよ! 剰え可愛い!


Face_kenichi

――――


Face_nagi

――――


Face_so

――――


Face_fui

――――


 最早手が止まり、猛暑で一気に氷が溶けてきてるけど凝視を続けてた一行。
 一方、賞賛の渦中の店員は自分のお店に戻りながら、拍手を送ってくれる客さんを一人ひとり見て、軽くお辞儀を返していく。


 そんな中、最後に彼女が見たのは――


Face_saya

(ニコニコ)


Face_noname

【4人】「「「「!!!」」」」


 全身に纏った笑みとおもてなしの姿勢は器用にメタメッセージを叫んでいた。


 「帰らなきゃ殺す」と。


Face_kenichi

帰ろっか


Face_so

うん


Face_nagi

そうね


Face_fui

はい


 一同のデート的なアレはこれにてフィニッシュであった。


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