「特変」結成編4-7「地上世界(3)」

あらすじ

「大丈夫、です……私は、兄さんの、世界を知りたいのですから……」☆「「特変」結成編」4章7節その3。井澤兄妹、深夜の森へ。動物との共存は非常に難しいです。なので無闇に餌をあげるのはよしときましょう。

↓物語開始↓

timeskip


Face_akitsu

【秋都】

到着、です


Face_mikan

【美甘】

なな何この車……!? って謙一大丈夫か!?


Face_kenichi

【謙一】

…………うん……


Face_mikan

【美甘】

ちょっと、聞いてないんだけど……謙一が森の前でくたばってるんだけど……


 停車して人の世界に帰ってきた井澤兄妹。
 亜弥はまだ意識を取り戻してないので、謙一が背負う。


Face_kenichi

【謙一】

徳川さん、ありがとうございました……


Face_akitsu

【秋都】

う、うん……(←やりすぎたかな……でも、疲れてる謙一くんもなかなかにっ!)


Face_kenichi

【謙一】

これから徳川はどうするんだ? 俺たちと行くか?


Face_akitsu

【秋都】

そうしたいところだけど……一回、警察さんと話をしないと


Face_kenichi

【謙一】

え、自首!?


Face_akitsu

【秋都】

ううん、徳川ガーデンはお仕事完了ですよって報告しないと


Face_kenichi

【謙一】

お仕事完了……?


Kenichi

 って、そういやさっき、徳川別の仕事を横入れとか何か云ってたな。


Face_akitsu

【秋都】

実は私のお家、個人でひっそりやってるから……その、色々ユニークな武装品とか、作ってたりもしてね


Face_akitsu

【秋都】

警察さんには安価でソレを使わせたりしてるんだよ


Face_kenichi

【謙一】

え、なに、じゃあ警察の人たちあんな人間離れのドリフトできるの……?


Face_akitsu

【秋都】

それは技術的にできないし、南湘の警察として大々的に暴走族を取り締まろうとすると、どうしても世間や他エリアの警察の目に留まってしまう。だから派手なことを、やりたいけどできない事情があるんだ


Face_akitsu

【秋都】

そこで、ひっそりと色々やってる徳川ガーデンに秘密裏の依頼が来て……


Face_kenichi

【謙一】

徳川家や安田先輩に、アイツら懲らしめてやってほしいと……


Kenichi

 それで徳川が見事全滅させてしまったというわけだ。
 というか先日の両親の反応を見るに、その依頼把握してるの娘と先輩だけだったな! やっぱり終わってるよあのお店!!


Face_akitsu

【秋都】

だから、その報告をしてから、追い掛けようかなって


Face_mikan

【美甘】

何かよくわかんないけど、大丈夫か一人で……?


Face_akitsu

【秋都】

うん、道のり覚えてるし……


Face_mikan

【美甘】

ウチもその暗記力が欲しかった……


 秋都はVORTEXに乗って元の道を走り去って行った。


 ……ここからは、堀田美甘の出番である。


Face_mikan

【美甘】

……それじゃ、行こうか


Face_kenichi

【謙一】

ああ、よろしく


timeskip


Face_noname

【女性】

うえぇ~……飲み過ぎたぜよ~……


Face_noname

【女性】

女2人で玄武5升は絶対やりすぎよねぇ……うっぷ……ビールはもう数えてないし……呂律回ってるのが奇跡よねぇ


Face_noname

【女性】

今度からは発泡酒にするぜよ~……


Face_noname

【女性】

それ、あんまり変わらないんじゃね……?


Face_noname

【女性】

……はれぇ?


Face_noname

【女性】

ん~?


Face_noname

【女性】

今、誰か居たような……


Face_noname

【女性】

はー? こんな深夜に森の中に入ってる莫迦が、居るわけないでしょうにぃ……ボルカニックパンダに会っちゃったらどうすんの!


Face_noname

【女性】

それもそっかー幻覚見ちゃったかー!


Face_noname

【女性】

「「飲み過ぎ~~!!」」


Face_noname

【女性】

……………………


Face_noname

【女性】

……………………


Face_noname

【女性】

ところで、此処、どこ……?


Face_noname

【女性】

……深夜の森じゃね?


Face_noname

【パンダ】

がるるるるるるるる……


AM0 30


 深夜の優海町の森に入るのは、自殺行為に等しい。


 だが、その当然の論理から外れている存在も居て、そのひとりが堀田美甘。


 彼女によって打ち付けられた釘は万人が地上へと降りられる道標にはなっているが、そのメッセージを受け取り、本当に安全無事に森を進み、或いは抜けることができるかは不明瞭であった。


だからこそ、彼女自身が側に居るという事は実質必須であったといえよう。


Face_kenichi

【謙一】

……何か、遠くで悲鳴が聞こえたような……


Face_mikan

【美甘】

気のせいじゃ、ないかな。うん、気のせいってことにしておこう


 謙一は今、亜弥を背負って登山しているようなもの。
ペースが落ちるのも当然であり、美甘はそれに合わせる。


 また、邪魔そうな石ころがあったら退かすし、危なそうな場所があったら別の道を探したり取り除いたりと、忙しそうにサポートする。


 ……そして、丁度良いと判断すれば、休憩を煽る。
幾度と井澤謙一の負担を削ってきた、見事な配慮は健在であった。


Face_kenichi

【謙一】

っはぁ~~……


Kenichi

 亜弥を抱くようにして、尻餅をつく……つもりだったが、丁度良い切り株があって椅子に座った感じだ。


Face_mikan

【美甘】

……この調子でいけば、1時半ぐらいには着くかな


Face_kenichi

【謙一】

おう……


Face_mikan

【美甘】

…………


Face_kenichi

【謙一】

…………


 汗を拭き、水分を補給し、息を整える。静寂の時間。


 忙しくなくなっていた今の時間に、美甘は問うた。


Face_mikan

【美甘】

……妹さん、か


Face_kenichi

【謙一】

そそ。亜弥っていうんだ。可愛いだろ


Face_mikan

【美甘】

う、うん……その……


Face_mikan

【美甘】

謙一は、シスコンってことで、いいのか……?


Face_kenichi

【謙一】

その表現はあんまり好きじゃないけど、まぁそういうことでいいやと思ってる


Face_ami

【亜弥】

ぅ……うう……


Face_kenichi

【謙一】


 ドリフト地獄で意識が飛んでいた亜弥の復活である。


Face_ami

【亜弥】

……あれ……ここ……どこ――?


Face_ami

【亜弥】

お布団じゃない、えっと……あれ、私、そういえば……


Face_ami

【亜弥】

……………………


Face_ami

【亜弥】

あれ、私、松髭様に自己紹介を!?


Face_kenichi

【謙一】

それはしなくていいから


Kenichi

 とても礼儀正しい自慢の妹である。


Face_ami

【亜弥】

あ、兄さん……


Face_ku

【光雨】

クーも一応居るのー……でも気分が悪いのー……(←ポケットの中)


Face_ami

【亜弥】

光雨ちゃん……私、一体……


Face_kenichi

【謙一】

えっと、ちょっと眠くなって寝てただけだよ。ほら、いつも寝てる時間帯だからさ、今0時過ぎ


Face_ami

【亜弥】

そ、そうでしたか……あれ、秋都、様は?


Face_kenichi

【謙一】

別の用事で一時的に別れてる。後で合流できるかな。今はほら、別の女子が


Face_ami

【亜弥】

え――!?


Face_mikan

【美甘】

ど、どうも……


Face_ami

【亜弥】

あ……ほ、堀田美甘様、でよろしいでしょうか……?


Face_mikan

【美甘】

え、あれ、どうしてウチのこと……


Face_kenichi

【謙一】

一応クラスメイトの顔と名前は教えてる。あと一言メモ的な


Face_ami

【亜弥】

クラスの、筋トレ担当……


Face_mikan

【美甘】

オイ


 再出発。
 今度は亜弥も自分で歩くが、その突然の難易度の上昇にペースは更に落ちる。


Face_ami

【亜弥】

あ、足場が、よく分からないです……! 今度はもっと暗闇です……!!


Face_kenichi

【謙一】

それでも兄さんがちゃんと手を繋いでるから、大丈夫だ。でも時間が……どうだろう美甘


Face_mikan

【美甘】

2時ぐらいになるかな。日の出まではまだ全然ある……けど


Mikan

 何だろう、この子。


Mikan

 この子を見ていて、ふと湧き上がる、違和感。
 それが何なのか全然分からないけど……。


Face_kenichi

【謙一】

…………


Mikan

 謙一が、言葉を出さず、苦笑する。
 それが何を示しているのかは、分からない……筈だけど、何となくウチはどうすればいいのかは、分かった気がする。


Mikan

 元々、ウチはナビゲーターでしかないのだから。


Face_mikan

【美甘】

ッ……! 止まって、静かにして……!


Face_kenichi

【謙一】

何か近くに居るのか……?


Face_mikan

【美甘】

……………………


Face_noname

【パンダ】

ぐるるるるる……


Face_mikan

【美甘】

多分、ボルカニックパンダだ……花火が五月蠅くて起きちゃってるんだと思う


Face_mikan

【美甘】

見つかると面倒極まりないな……譜已が居れば話は別だけど


 暫く、その場で静かにして、脅威をやり過ごす。


Face_ami

【亜弥】

…………


Face_kenichi

【謙一】

…………


Face_mikan

【美甘】

……居なくなった、かな


 外にも内にも、徹底された配慮のナビゲート。


 そんな美甘にとって、ある意味一番の壁は、彼女だった。


Face_ami

【亜弥】

はぁ……はぁ……


Face_mikan

【美甘】

大丈夫か? また、休憩挟もうか?


Face_ami

【亜弥】

だ、大丈夫、です……迷惑には、なりません……


Face_kenichi

【謙一】

時間は?


Face_mikan

【美甘】

まだ全然余裕はあるよ。ただ、動物たちが結構起きてるから、早く冨士美草原に抜けた方がいいとは思う


Face_kenichi

【謙一】

亜弥、またおんぶしようか


Face_ami

【亜弥】

大丈夫、です……私は、兄さんの、世界を知りたいのですから……


Face_ami

【亜弥】

もっと、知りたいのです……


Face_kenichi

【謙一】

……亜弥……


Face_mikan

【美甘】

……じゃあ、頑張れるだけ、頑張ってみようか。その保険に兄貴が居るわけなんだから


Face_kenichi

【謙一】

美甘……そうだな。よし、行こう!


Face_kenichi

【謙一】

あと少しだ、頑張ろう、亜弥!


Face_ami

【亜弥】

はい……兄さん……――!


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