「特変」結成編1-11「破壊宣言と記念写真(1)」

あらすじ

「お前らが特変破りで勝ったら、ルール通りに願いの実現に全力を尽くす。だから――俺らに勝ってみろよ」スタジオメッセイのメイン作品『Δ』、「「特変」結成編」1章11節その1。遂に堀田美甘ちゃんとのコミュニケーションを拓いて、冨士の森の災難から脱出した謙一くんたち。真理合宿3日目、合宿集大成の行事であるクラス発表で、一つの枠を形成した特変が披露する発表内容は――。 ※すみません結構長いです……。

↓物語開始↓

290429

Stage: 合宿所 大講堂



PM2 30


Face_midori

はーい、これで一クラスを除いて、皆発表が終わったワケね~


真理合宿3日目。


昼食後、三日間を締めくくる最後のイベントを迎えていた。


Face_midori

云い換えれば、前座が終わったワケね~


Face_students

「「「イラッ」」」


Face_midori

さあさあ、トリを務めますは~、勿論この子たちー!


Face_midori

特変自己紹介、どーぞー☆


Face_kenichi

できるかあぁあああああああああ!!!


クラス毎に、これまでのアクションの結果導いたものを全体で発表する時間。
学校側は最も大事なイベントとも解釈する時間、トリに回された特変の代表井澤謙一は取りあえず叫んだ。


Face_kenichi

何で毎度毎度あおるんですかアンタは!! やりにくいって云ってるでしょ!!


Face_midori

別に煽ってるつもりないのよ~、事実を呟いてるだけで~


Face_students

「「「イラッ」」」


Face_kenichi

そして益々学園長同様に俺らに怨嗟えんさの目が向けられるわけだ……


Kenichi

ホントこの人は俺らを大悪党に仕立て上げたいらしいな……


Face_midori

というかもう始まってるわよ~発表時間。ほらほら頑張って~


Face_kenichi

最悪だよホント……俺らこそ前座であるべきだったよ……


Kenichi

そう呟く理由はちゃんとある。
なぜなら各々クラスは、前日の10時半から19時くらいにかけて、発表準備をする時間を持てた。学園長の気まぐれで冨士を歩くことにもなったが、そのかたわら、またはそれを終わらせた後にもクラスアクションなる時間が充分あったらしい。
つまり、一般クラスはしっかり準備できたってことだ。


Kenichi

一方俺らは……というか俺と志穂と美甘がとんでもないアクシデントにったことでそんな時間は全く無かった。
今日の午前にも一応発表準備の時間は用意されていたわけだが、ぶっちゃけ他のクラスみたいにったものは何も用意できなかったのだ。
俺だって作曲とかしたかったさ! 踊りたかったさ! 時間があったならな!!


Face_kenichi

ってことで、俺ら普通に自己紹介しまーーーす!!!


Face_yukina

えーーー……


Face_midori

えーーー……


Face_kenichi

期待してくれてた少数の諸君を裏切るようで大変心苦しいが、文句のある奴は特変権限のもと処す


取りあえず場の空気が落ち着いた。


Face_mikan

お前、かなりあくどい権力横暴おうぼうかましてるぞ……


Face_kenichi

正直感覚麻痺まひしてきたかもしれない。暴走しそうだったら止めてくれ美甘


Face_mikan

まあ、分かったけど……


Face_yukina

って待て待て待て待て!!!?


9人ともピンマイク装着して準備万端な会話で再び場がどよめく。


Face_mera

……………………


Face_students

お、おい……どうなってんだ――


Face_students

あの、堀田美甘が、普通にしゃべってる!?


Face_students

ちょ、初めて聴いたんだけど声! 全然普通の女子の声じゃん! 誰だよ野太いとか云ってた奴!


Face_mikan

ホントだよ、誰だよそのうわさ流した奴出てこいよ


少なからず美甘はその噂にショックを受けていた。


Face_midori

ふふっ……どうやら、美甘ちゃんを無事としたみたいね謙一くん


Face_keji

まさか本当に達成するとは……やれやれ、ガチ恐ろしい生徒が入学してきたもんだなぁ


Face_keji

でもお願いだから昨日みたいなのは止めてねマジ。胃に穴が空くかと思ったんだから


Face_kenichi

俺だって二度はごめんですよ


Face_saya

リーダー、発表おしてるわよー


Face_kenichi

おっと……


Kenichi

沙綾のお陰で最小限の脱線で戻って来れた。


Kenichi

ホント、俺よりずっと沙綾の方が管理職向いてるって絶対――


Face_saya

……………………


何か感じたらしい沙綾が現管理職をガン見していた。


謙一は取りあえず渾身こんしんの土下座を披露ひろうした。


Face_akitsu

えっ、謙一くん……!? どうしていきなり土下座してるの!?


Face_yukina

彼は今だってクラスメイトと格闘中なんだよきっと


Face_shiho

おら早く進行しろハゲ


Face_kenichi

ハゲてねえ。んじゃ、だいぶタイムロスしたけど一人ずつ紹介しまーす……


Face_kenichi

堀田美甘!!!!


Face_mikan

何でウチがトップバッターなんだ……


何年ぶりかに人とまともに会話したばっかの美甘は、いきなり数百人の前で自己紹介することに。


緊張きんちょうはしていないようだが、抵抗が無いわけではなかった。


Face_mikan

……………………


Face_shiho

……美甘。大丈夫


Face_shiho

何を云ったって、何をかましたって、権力で全部百点満点に書き換える


Face_mikan

いやソレはしなくていい……


Face_mikan

でも、ありがと……ちょっとだけ……


Face_mikan

踏ん切りが、つくよ……


Face_kenichi

因みにこの会話もぜーんぶ拾ってますマイク


Face_mikan

…………////////


Face_students

「「「…………」」」


普通に赤面する少女に一部の同級生の心がERECTION!!! した。


Face_mikan

こほん……堀田美甘、だ


Face_mikan

ウチは、えっと……特変の、筋肉、担当らしい……


Face_mikan

その理由は、ウチを知ってる人なら簡単に理解できると、思う……


Face_mikan

運動が、得意だ。勉強は、苦手だ、てんでダメだ


Face_mikan

好きな食べ物は……肉。脂っこいほど、好きだ。果物は嫌いっていうか、苦手だ


Face_mikan

…………こんな、もんかな自己紹介って


Face_saya

フツー過ぎるでしょ美甘~


Face_joe

つまらん


Face_nono

ここはやっぱり美甘さんの括約筋かつやくきんのパワーを実演しましょう(←リコーダーを手に取りながら)


Face_mikan

んなこと云われても、ウチはお前らみたいなトチ狂った思考回路してないから浮かばないよ(←リコーダー折りながら)


Face_kenichi

常識人枠が増えてくれて俺ホント感激だわ。机の上で腹筋するのが玉にきずだが


Face_mikan

そうか……筋トレでもすれば紹介になるかな


Face_mikan

フンッフンッフンッフンッフンッ――!!!(←堂に入ったスクワット)


Face_fui

…………


Fui

常識って、何だったっけ……


堀田美甘のスタートダッシュで心構えを蹴散けちらされた視聴者たち。


そこに一気にたたみかける采配さいはい


Face_kenichi

衒火情!!!!


Face_joe

好きなものも嫌いなものもその時決める。つまり答えは用意できねえ


Face_joe

文句があるなら前に出てきやがれ。直接俺を矯正きょうせいしてみろ


Face_joe

力も意思も無い奴が、俺の足を止められると思うなよ。逆に、有るってんなら相手してやる


Face_joe

俺はテメエらに微塵みじんも興味ねえが、どんだけみにくかろうが来るなら視界には入れてやる


Face_joe

俺は、王者だからだ


Face_kenichi

あきれ返るくらい最高にイカした発言だけど何で俺たちの方見て云ってるのお前?


Face_joe

最高頻度ひんどで視界に入る奴らにまず云うべきことだろうが


Kenichi

俺らに自己紹介されても困るんだよなぁ……
そして相変わらず味方と呼びにくいことこの上ないポジションにいらっしゃる。


だが視界に入れずとも衒火情の覇気はきは講堂内の全員を呑み込んでいた。


彼まで自己紹介の流れに従ったという事態に唖然あぜんとするしかない視聴者たちはしかし、依然衒火情は自分たちが認識してきたその姿で変わらず存在している……
つまり圧倒的な危険であることを認識したのだった。


Kenichi

よしっ……美甘と情で取りあえずインパクトは勝ち取ってる!
このままごり押して、うっすい発表内容を誤魔化ごまかす!!


Face_kenichi

遠嶋沙綾!!!!


Face_saya

めんどくさーーーーーーーーーーーーい


ネットサーフィンの手を止めない沙綾の姿で謙一の計画が乱れ始めた。


Kenichi

おぃいいいいいいいいいいいいいいいい……!!!


井澤謙一全力の視線が不愉快だったのか、ネサフィの手は緩めず喋り始める沙綾。


Face_saya

遠嶋沙綾ー趣味はかーくん~


Face_saya

特技もかーくん~苦手なのは音々~


Face_saya

好きなものかーくん嫌いなもの音々~


Face_saya

座右の銘かーくん~……これでいーでしょー?


Face_kenichi

かーくんの概念像がどうしてもハッキリしてこないんだ


Face_kenichi

取りあえず人間だと俺は予想してるんだが、当たってるなら早くコイツを処理してくれ……


遠嶋沙綾安定の自己中っぷりに視聴者陣も平静を取り戻し始める。


Kenichi

いや何で落ち着く!? どんだけいつも通りなんだよコイツの現代っ子ぶり!!
くっそ、スベってる雰囲気になる前に、この熱をまた上昇させないと……!
秘密兵器投入だ!!


Face_kenichi

いけえぇえええ佐伯乃乃おぉおおおお!!!


Face_nono

人は、いわば一つの楽器です


Face_nono

様々な音を鳴らすことのできるなかなかに多機能な楽器です。例えば……


Face_nono

発声は勿論のこと、手を叩く、足踏みする、指パッチン、歯ぎしり、屁こきなどなど


Face_mikan

屁こき……


Mikan

屁こき……。


Face_nono

しかし私はそれらの音に興味あまりありません。それよりも……自発的な音に、かれるのです


Face_nono

ここでの自発というのは積極的な姿勢ではなく、人為を除いた自然的な様を意味しています、すなわち――


Face_nono

一本の弦で、他人を弾くのです……(←左手の親指と人差し指で輪っかを作りながら)


Face_nono

その時、発せられる声なり振動なりはまるで人為超越した、神秘の音のよう……!(←右手にボールペン装備)


Face_nono

大丈夫、痛くはしません、私はプロですから。ですからどうか、皆さん貴方のお尻を――


Face_nono

貴方のをお貸しください!!!(←ボールペンを輪っかに抜き差ししながら)


Face_students

「「「うわぁ……」」」



佐伯乃乃いつも通りの全力投球に場は更に静まりかえる。


Kenichi

しまったあぁあああああああああああああ順番間違えたあぁああああ……!!!!!
いや、でもコイツの場合どこで札切ってもドン引きエンドだな……因みに俺もドン引きしている。


Face_nono

すみません謙一さん、あまり反応ゲットできませんでした……(←落ち込み)


Face_kenichi

むしろ拍手とか来たら俺この学園の不信感50パーセントアップだわ


Face_kenichi

そんなワケで切り返せ、二邑牙奏! 銘乃譜已!


Face_so

この流れで後輩コンビを投入ですか!!? 鬼畜過ぎるでしょパイセーン!!!


Face_fui

め、銘乃譜已、です……その、母がいつも、お世話になってます……


Face_midori

お世話になってまーす♪


Face_midori

折角だから譜已ちゃんはお母さん直々に紹介してあげるわー♪ スリーサイズは――


Face_fui

お か あ さ ん ?


Face_midori

ごめんなさい調子乗っちゃいました引っ込んでま~す……


Face_students

「「「(すげえぇええええええええええええええええええええ!!!!)」」」


この日の夜に銘乃譜已最強説が学園のネット掲示板で誕生するのだった。


Face_so

そんな可愛い譜已ちゃんの親☆友! 二邑牙奏でーす! この前はどーもどーも!!


Face_so

今年度からパイセン方と同級生になっちゃったけど、歓迎祭を考えたら全然大丈夫そーだよねー!


Face_so

譜已ちゃんの手をわずらわせるまでもなく、私がぜーんぶ特変破りも片付けてあげる! よろしくー!!


なかなかの煽りだった。


しかし「よろしくー!!」と決めるまでに彼女は3回ほどつまづいて地面にダイブしていた。
床にはカーペットがめられているとはいえ、3度の顔面ダイレクトアタックで鼻血が出ていた。


その結果、「何で直立してるだけなのに躓けるんだろう」というたぐいの疑問が挑発の効果を全て消し去っていた。


Face_so

えへへ、どうだったかな譜已ちゃん、上手くできたかなー……!


Face_fui

えっと、取りあえず、顔冷やそ……?(←鼻血拭いてあげながら)


Face_nagi

顔というより頭を冷やした方がいいんじゃないの


Face_so

パイセンには訊いてません~~!!! そして、自己紹介GO!!


Face_nagi

もう出番が回ってきたの


出番待ちの間、凪は読書していた。


Face_nagi

コレは『俺の幼馴染みが玉結びナウ』ってラノベね。最近流行ってるわね、こんな雰囲気の題名


Face_nagi

普段は気にならないのだけど、コレに限ってはタイトルがくせ強すぎて悶々もんもんとしたから購読したわ


Face_nagi

主人公の四ノ宮良太くんは、もつれたコンセントとかイヤホンをほぐすのが上手なこと以外はごく普通の男子学生


Face_nagi

そんな彼の隣には、明るく温厚で成績優秀な学生会長の幼馴染おさななじみ・盛岡ゴルデネマーチさんがいつも肩を寄せる


Face_nagi

けど、彼女には一つの問題があった。少なくとも私はそう解釈するわ


Face_nagi

それは、ほつれた糸に限らず、どんなに極太なものでも柔らかかったら何でもしてしまうこと



Face_nagi

どの程度本人が認識しているのかはまだ曖昧だけれど、「ついつい」結んでしまうのだと


Face_nagi

その悪癖を、隣の四ノ宮くんがさりげなく解いてカバーする……という日常が延々と続いてるわ


Face_nagi

それと、ゴルデネマーチさんのお家は相当格式高いらしくて、家もそれを意識してる


Face_nagi

それもあって随分と上等な和的ファッションを日常で強制されてるみたい。コレも後々大きな話になるのでしょうね


Face_nagi

この辺りは私の勝手な憶測だけれど、真面目な優等生の姿も、いわば格式を象徴しているのかもしれないわ


Face_nagi

そしてついつい周りを玉結びしてしまう悪癖は、不満の発散方法として機能しているとも考えられる


Face_nagi

そこまでいくと、題名の玉結びが掛詞かけことばのように機能している、とまで論じることもできそうね


Face_nagi

ただ、この作品発売から一週間で絶版されてるのよね。続きが見れないかもしれなくて軽くショック


Face_nagi

……ま、一週間後にはそんな感情も忘れてるでしょうけど


Face_nagi

そんなところでいいかしら、謙一


Face_kenichi

本の紹介してどうすんだよ


Face_shiho

ていうか幼馴染みの名前が格式ぶっ壊してる気がするのは私だけか


Face_so

何でパパママ、ゴルデネマーチなんて名前にしたんだろうね


Face_fui

えっと……誕生日が3月、だったから?


Face_mikan

ゴルデネってそもそも何だ……?


Face_fui

多分、「黄金ゴールド」関係かと……


Face_mikan

ああなるほど……じゃあゴルデネは格式高い感じなんだな……


Face_mikan

ゴルデネマッスル……うーん、微妙……


Face_so

ゴルデネディセンバー!! コレカッコいいでしょ!


Face_fui

……二邑牙ゴルデネディセンバー?


Face_saya

私がいじめっ子だったら絶対いじめるわねそんな名前の子いたら


Face_nono

ゴルデネエ〇マ


Face_joe

テメエはいい加減ケツから離れろ


Face_nono

私に死ねと申すのですかゴルデネエンペロール


Face_joe

……称号として悪くはねえな。今後そう呼ぶことを許してやる


Face_saya

確かにシアちゃんが居るものねー。私はゴルデネかーくんでいこうかしら


Face_fui

そ、それだと伊吹くんと混同しちゃいそうじゃ……?


Face_saya

かーくんはかーくんよ? しっかり区別できるじゃないゴルデネグリーンジュニア


Face_fui

………………………………(←落ち込んだ)


Face_saya

あー、気にさなかった……? ごめんごめん、譜已は譜已でいいのよね!


Face_saya

うーん、譜已のあやし方とかまだ慣れてないのよ、ちょっとお願い漆黒ゴルデネ高嶺花さん


Face_nagi

串刺しにしてあげましょうか


Face_kenichi

すーーはーーすーーはーー(←精神安定実施中)


Face_shiho

おーいゴルデネハゲマネージメントがセージとローズマリーに顔突っ込み始めたぞー、控えろ控えろ


Face_nagi

兎に角、やることはやったわ。次は貴方でしょ


Face_joe

早くやれゴルデネ貧乳マフラー


Face_shiho

お前後で覚えてろよ画鋲がびょう15個ぐらい飲ますからなゴラ


Face_shiho

おらー、寝てる奴いねーだろうーな。折角この秋山志穂が自己紹介するんだからなー


Face_shiho

いや、そもそも自己紹介の時間に寝る奴とかサイテーだからな。完璧それコミュニケーション拒否って伝わるからな


Face_shiho

それは人として失格レベルで失礼――ごがあぁあああああ!!!


Face_mikan

お前が寝てどうすんだよ!!


Face_mikan

ほら、起きろー!(←肩を揺さぶる)


Face_shiho

んん…何だよ美甘、昨日の疲れが残ってるんだ私ぁー……


Face_mikan

自己紹介の時間に寝る奴人として最低って云ったよな!? 誰でもなく志穂がたった今云ったよな!?


Face_so

今となっては完全にフリだったよねー……自分で振っといてソレ自分で使うとか流石ゴルデネマフラー


Face_shiho

美甘代わりに……お願――ごがあぁあああああ(←アルティメット爆睡ばくすい


Face_nono

むむ……コレは噂に聞くアルティメット爆睡……この領域に至ると浣腸かんちょうしても起きないと云われています


Mikan

初めて聴いたんだけど!! 入学一月ひとつきでどうしてそんな噂が確立してんだよ!
でも肩ゆさゆさしても全然起きる気配ない! きっと本当にアルティメットなんだ……!


Face_joe

仕方ねえな、お前やれ美甘


Face_mikan

……え!?


Face_nagi

最後の力を振り絞って貴方にたくしたのだから、それ通りに貴方が遂行するのが正しい流れでしょう


Face_nagi

貴方、志穂の親友枠みたいな感じだし


Face_mikan

いや会話したの昨日が初めて!!


しかし特変式な流れの暴力で、本当に美甘が志穂の紹介をすることになった。


Face_mikan

えっと……秋山志穂、です


Face_mikan

志穂は、真理学園新規組だって云ってた。確かに今まで見ないマフラーだなって思ってけど


Face_mikan

でも、それに関わらずいきなり志穂は特変で……すっごく変な女子だ


Face_mikan

いっつもこんな感じで日中爆睡してるし、喋り方も眠そうな時が割と頻繁だし


Face_mikan

でも……凄く強い。ウチじゃ歯が立たなくて、まるで忍者みたいだった。カッコいいなって思ったりもした


Face_mikan

黒髪も綺麗だな、入浴の時もモデルみたいなスタイルしてるなって思ったし。そもそも志穂って美人だな……


Face_mikan

同じ女子なんだよなって、疑問に思わされたりもするなぁ……


Face_mikan

ウチが勝ってるのなんて胸くらいなんだろうなぁ……あ、そういえば志穂の背中――


Face_kenichi

いい! もういい! 美甘ありがとうもういいや!!


爆睡してる間に素直過ぎる他己紹介でどんどん身体的情報が暴露されていく志穂。


落ち着こうと頑張ってた謙一が現実にリターンしてプライバシーを保護した。


Face_mikan

え……? こ、こんな感じで大丈夫なのか……?


Face_danshi

「「「(――チッ……!!)」」」


Face_mikan

どう、だったかな……ウチ、志穂の良いところちゃんと伝えられたのかな……


Face_kenichi

う、うん……


Kenichi

美甘さん思った以上に周りのこと見てたんですね!! しばらくこのギャップで遊べそうだわ、いや俺が手を出すまでもなく他の変態クラスメイツが遊びそうだわ!


Kenichi

はぁ……さて、と。


Face_kenichi

大いに、大いに!! 盛り上がった自己紹介タイムも大詰め! トリを務めるつもりは本来無かったんだが――


Face_kenichi

この俺井澤謙一が最後だ!


本当に自己紹介だけで十数分あったクラスメイト発表の時間すべてを費やした謙一はこの時8割以上はヤケクソの心境で喋っていた。


因みに井澤謙一に対する学生らの印象は、謙一の意図を超えて変わりつつあった。


Face_students

(アイツも、秋山と同じく新規だ……C等部時代からずっと真理学園の俺が知らないんだ、間違いない……)


Face_students

(衒火情も、烏丸凪も……)


Face_students

(佐伯乃乃に遠嶋沙綾……そんでもってあの堀田美甘まで、自己紹介を……)


Face_students

(しかも堀田に至ってはすんごい雰囲気変わってるし! 普通に可愛いし!)


Face_students

(……それを、全部、アイツが成し遂げたってのか……?)


Face_students

「「「(井澤謙一――)」」」


Face_kenichi

…………


Kenichi

……何だろうな。
さっきから俺に対する視線が、何か、怖い気がするんだよな。変だな、入学式の時よりも見られてるって感じがする……


Kenichi

まぁいいや……どんな印象抱かれてようが、俺のやることは変わらないんだ。


Face_kenichi

今の俺らの自己紹介聴いたらイメージできるかもしれないけど……


Face_kenichi

俺らの教室って大体こんなカオスなことになってるんだよなホント


Face_kenichi

皆やりたいようにやるから、軌道きどう修正とか大変なんだよ


Face_kenichi

美甘に期待を眼差し向けてみたりもするけど、基本的にツッコミ俺しか担当できねえんだよ


Face_kenichi

んで、どうやってコイツらコントロールしてやろうか、とか4月ずっと思ってたんだけどさ……


Face_kenichi

それはもうやめた。俺、そんなガチの管理職とか向いてないし


Face_kenichi

俺はごく普通……ではないんだろうけど、何か特出した特徴とか多分そんなに無い男子だよ


Face_kenichi

趣味あんまり無いしさ。クオニアンぐらいかな、誇れることなんて


Face_kenichi

勉強はできる方だと自負してるけど、俺的にはもっと教える力がほしい


Face_kenichi

何よりまず、言葉をしっかり使い分ける力がほしい


Face_kenichi

はっきり言葉を使い分けられるなら、それにともなう決断意思を持ちたい


Face_kenichi

でも現実は乱暴に言葉を使っちゃうし、優柔不断。嘘つくの最高に苦手で最高に不器用なんだよな


Face_kenichi

だからそんな俺が、コイツらを絶妙に従えるとか絶対無理な話なんだよ現実的に。方法も思いつかないし


Face_kenichi

だからやめた。やめて……ぶつかり合うことにした


Face_kenichi

俺も、特変だ。俺もこの変態どもと一緒に好き勝手やってやる、そう決めてな、この合宿挑んだ


Face_kenichi

その結果がコレだ……案の定もっとカオスになったと思うし、暫く胃薬とアロマセラピーは手放せん


Face_kenichi

でも、ちょっとだけ道は見えた気がするんだよ。真っ暗闇だから全く安心できないけど


Face_kenichi

つまりだ。皆にとって大切なのは――


Face_kenichi

俺がお前らを配慮はいりょする余裕は無いってことだろうな


Face_students

「「「――!!!」」」


Face_kenichi

俺は……


Face_kenichi

特変でいる意義を、どこかで見てしまったかもしれない


Face_kenichi

元々このつもりだったけどさ、俺、特変を撤廃てっぱいするつもりはない


Face_akitsu

! ……


Akitsu

……謙一くん。


Akitsu

ずっと、張り詰めたような、謙一くんばっかりだったのに。


Akitsu

初めてだ。
どうして、そんな顔、してるんだろう。


Akitsu

また……謙一くんは。
変わっちゃう、のかな。
進んじゃうのかな――


Face_yukina

……そうこなくちゃね


Yukina

ここの学園長が太鼓判たいこばんを押すほどの人材。
汚れに汚れた勘が云ってる。
彼らは、彼はまだまだ大きな反応を起こす筈だ。いっそ爆発してもいい。


Yukina

だから、もっと……
輝いてくれ――


Face_kenichi

別にすすんでお前らに悪行嫌がらせなどなどを働くつもりはない


Face_kenichi

だが特変制度っていう土台を色々いじって、壊したくもない。学園長が長年かけて用意してきた舞台……


Face_kenichi

踊ってやろうとは断じて思わない……


Face_kenichi

だが、突き進んでみたいとも思った。学園長の意図から外れてもいい。見えた気がした道を――


Kenichi

コレは間違いなく普通の道じゃない。


Kenichi

けど、そんなのは入学前から。いや――
何年も前から分かってたことだ。
俺はこの道を行かなきゃ、満足できない。後悔するんだと。


Kenichi

俺は……解答を探し続けるんだと。


Face_kenichi

――この道を、“糞”が補強してくれるっていうなら、なってもらいたいね。新規組で生意気申し訳ないんだが


Face_kenichi

特変に協力してもらおうか、金魚の糞がくゆうたちよ


Face_mikan

お前も何だかんだですっげえ煽ってる気がするんだ


その通りで、謙一のアドリブはなかなかに学生たちをいらつかせていた。
何か良いことを抱いてるのだろうが、それよりも自分たちにこれから降りかかるであろう悪政の数々を想像したら、看過かんかはあり得なかった。


その変化は謙一も理解していた。


Face_kenichi

だからきっと、その為の「特変破り」なんだろうよ


Face_students

「「「……!!」」」


Face_kenichi

俺がお前らの立場だったら、そりゃ思うぜ。これでもちゃんと市民教育受けて優等生扱いされたんだ、その感覚でいえば――


Face_kenichi

「こんな理不尽許せるか」ってな。そして救済の制度が、正当なものとして準備されてる


Face_students

特変破り……


Face_kenichi

学園長云ってたぜ、価値ある者には価値を……自由主義を掲げてるってな


Face_kenichi

だから学園長は裏切らない。勝ったお前らを裏切らない。もし裏切るようなら――


Face_kenichi

この俺が特変最後の権力を使って銘乃政権を破壊する


Face_midori

……え?


Face_keji

おお


Face_students

「「「!!!!」」」


Face_kenichi

ま、銘乃政権側の俺が何云っても説得力無いとは思うけどさ。キチンと言葉で、約束する


Face_kenichi

お前らが特変破りで勝ったら、ルール通りに願いhopeの実現に全力を尽くす


Face_kenichi

特変の解体も、銘乃政権解体も、その他諸々


Face_kenichi

できないことはあるだろうけど、できることは必ず実現させる


Face_kenichi

だから――俺らに勝ってみろよ


「負けねえから」。


一切迷いの無い言葉。決意と覚悟。
音響機器を介していたとしても、その音に含まれた質量は聴く者全員を強引に黙らせる力を秘めていた。
そして、頭に中心となる単語が残響ざんきょうするのである。


「特変破り」――


Face_students

(特変破り……)


Face_students

(そうだ、特変破り……)


Face_students

(特変、破り――!)


Face_kenichi

……云うべきことは以上かな。ちょっと喋りすぎた気もするけど……


Face_mikan

喋りすぎ!


Face_fui

その、凄く、喋ってたと思います……


Face_nagi

長い。長い上に胡散うさん臭い


Face_saya

謙一くん、カラオケ連続で曲入れちゃうタイプでしょ?


Face_kenichi

カラオケ行ったことないから分からんけど、自覚はしてるんだよホントに。不器用なんだ、許してくれ


Face_kenichi

俺は、そういう“特変”なんだ


Face_joe

おい終わったならマイク切れ


Face_kenichi

おっとサンクス。んじゃー、えっと……あーじゃーしたー


締まらない締めだった。


しかし意図した通りかは兎も角、発表のクオリティとかは視聴者たちはどうでもよくなっていた。


内から湧き上がる圧倒的な感情――


――解放欲。



otherside



Face_mera

フフッ……


Mera

あそこまで云ってくれるなら……


Mera

頼もしい。
ならば恐れず、立ち向かわないと。
私を支配する価値観から、私を解放するのは、私自身だ。


Mera

破壊するんだ……


Face_mera

私自身を――


Face_akitsu

え……?


Face_mera

何でもないよ。そんなことよりも――


Face_mera

諸君、ちょっと耳を貸してくれるかな


Face_yukina

目羅ちゃんが何かを企んでいるようだ


Face_yukina

しかも、俺たち特Bを皆巻き込んで……このタイミングで招集をかけるって


Face_akitsu

……え、ま、まさか――


Face_mera

何を驚いているんだ、徳川くん。私たちは本来――


Face_mera

そういう・・・・クラス、だろう?


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