「特変」結成編1-9「9つのルール(2)」

あらすじ

「目指すのは全員にとって居場所となるクラス。その為に――お前らが譲れないもの一つ、提示しろ。それが、各々が特変であることを示す証になる」スタジオメッセイのメイン作品『Δ』、「「特変」結成編」1章9節その2。「クラスアクション」の時間にて、クラス統率の為に謙一くんが提案したのは、「規律」を定めること。それは実のところ、彼自身の首を絞めかねないほどに危険で、その覚悟をする必要のある決断だったのでした。

↓物語開始↓


Face_kenichi

【謙一】

……んじゃ、自己紹介に代わる前座は終わったことだし


Face_so

【奏】

今までの前座!? 割と時間使ったよパイセン!?


Face_shiho

【志穂】

…………


Face_saya

【沙綾】

云っておくけど、今みたいの流れはもうノーサンキューだからねー


Face_kenichi

【謙一】

んな授業みたいなことしたら衒火に殺されるわ


Face_kenichi

【謙一】

でもま、皆に言葉を出してもらうのは変わらない


Face_so

【奏】

また意見か何か?


Face_kenichi

【謙一】

今度は、特変についてだ


Face_nagi

【凪】

……特変についての立場は、もう示した筈よ


Face_kenichi

【謙一】

分かってる。皆が特変をどう思ってるのか、何となく俺は把握したつもりだ


Face_kenichi

【謙一】

しかしその様相が如何なものであっても、特変は存続する


Face_kenichi

【謙一】

俺が、させる


Face_nagi

【凪】

…………


Face_saya

【沙綾】

…………


Face_kenichi

【謙一】

ただ多数人間が同じ場所に居るのを組織とは呼ばない


Face_kenichi

【謙一】

規律ルール


Face_kenichi

【謙一】

俺たちは組織なのだから、規律を持たなきゃいけない


Face_saya

【沙綾】

うわー随分テンプレな線持ってきたわねー最悪~


Face_joe

【情】

授業になりかけてるのに気付かねえのかハゲ


Face_kenichi

【謙一】

ハゲてねえよ


Face_nagi

【凪】

まぁ、それで静かになるなら私は構わないけど


Face_so

【奏】

買い食いは許してほしいなー……


Face_fui

【譜已】

そんな具体的過ぎるルールなのかな……


Face_nono

【乃乃】

……謙一さん。それでは、私は規律されてしまうのでしょうか


Face_nono

【乃乃】

矢張り……罰ゲームは、迷惑でしたか


Face_kenichi

【謙一】

いや、まぁそりゃ迷惑以外の何物でもないけど


Kenichi

「自業自得だろうが」などの正論も後ずさりするレベルの、はかなげな雰囲気を出してるような気もしなくもない佐伯。
彼女にとって、嫌がらせが一体どれだけの価値を持っているのかが少しだけ分かってくるというもの。


Kenichi

まぁ、兎も角その心配は残念ながら杞憂きゆうなんだけども。


Face_kenichi

【謙一】

9つだ


Face_so

【奏】

9つ?


Face_kenichi

【謙一】

今から、9つ、ルールを定める


Face_kenichi

【謙一】

俺たちは特変として、今後この9つのルールを守って生活していかなくちゃならないんだ


9つを、指で表す場合。
これは逆に難しいとすら思えるレベルで解説は容易である。
片手で5本、もう片手で4本を伸ばせばいい。


だが、この時井澤謙一の指はそうでなかった。


一本。


たった一本――右手人差し指のみが腹を見せていた。


その意味を、察しの良い面子はすぐ察し……深い息を吐いた。


Face_joe

【情】

ほう……


Face_saya

【沙綾】

なるほど、ねぇ……


Face_nagi

【凪】

……よくもまあ、そんな大胆なことを


Face_nono

【乃乃】

…………


Face_noname

【noname】

【奏&譜已】「「???」」


Face_shiho

【志穂】

――1人、1ルールだ


一部分かってない面子に、志穂がその意味を明示する。


Face_shiho

【志穂】

私らが特変として生活していく為に設けるルールを、1人1つずつ作れ


Face_fui

【譜已】

……え!?


Face_so

【奏】

それ……いいんですか?


Face_so

【奏】

この面子で、そんなことしたら……


Face_so

【奏】

パイセンが、欲しかったのは組織の一貫いっかん性ですよね?


Face_so

【奏】

でも、これは逆を行きますよ……? 皆好き勝手に自分ルール提案してくるに決まってる


Face_kenichi

【謙一】

別に良いんじゃねえか?


それが、井澤謙一の解答であった。


奏の質問への回答のみにあらず、彼がずっと考えてきたことに対する、取りあえずの結論であった。


Face_kenichi

【謙一】

特変結成から1ヶ月が経とうとしてる。授業も2週間は経過した


Face_kenichi

【謙一】

そんな中で分かったのは、やっぱり俺たちに統一ペダコジーは似合わないってことだ


Face_kenichi

【謙一】

いつぞや遠嶋が云ってたように、斬新な俺たちは、やり方もやっぱ斬新じゃなきゃ合わない


Face_kenichi

【謙一】

授業に限らず俺たちは何もかも、創っていくしかない


Face_kenichi

【謙一】

目指すのは全員にとって居場所となるクラス。その為に――


Face_kenichi

【謙一】

お前らがゆずれないもの一つ、提示しろ。それが、各々が特変であることを示す証になる


Face_nono

【乃乃】

……いいんですか? 確かに今の状況で取れる、最も効率的な統率とうそつであるかもしれません


Face_nono

【乃乃】

しかし無法の状態でさえ薬に手を伸ばしている謙一さんは、もっと苦しむことになりますよ?


Face_kenichi

【謙一】

それはもう諦めてるな


Kenichi

加えて、いっそルール化してしまった方が精神的な準備もしやすかろう。


Face_kenichi

【謙一】

それに……俺も我がままを通せるようになるからな。それで手を打ってやる。どうだお得だろ


Face_so

【奏】

お得かどうかはパイセンの我が儘の質にもよりますよね……


Face_so

【奏】

たとえば譜已ちゃんにセクハラを働きたいとか、そういうのだったら私はパイセンごと特変を破壊しますよ


Face_kenichi

【謙一】

お前が俺をどう見てるのかは分かった


Kenichi

基本的に俺は紳士である。


とか思いながら謙一は後輩に拳骨GENKOTSUをかます。


Face_so

【奏】

いたい~~~!!!


Face_kenichi

【謙一】

ホラ、1人1つ出せ。勿論限度的なものはあろうが、提案だけなら自由だ


Face_kenichi

【謙一】

まぁ一部面子のはもう予想がついてるんだけど


Kenichi

特に――


Face_nagi

【凪】

考えるまでもない。最初から、云っているもの


Face_nagi

【凪】

私は平穏を望むと


Kenichi

――コイツなんかな。


Face_kenichi

【謙一】

思ったより大人しくて助かるわ


Face_nagi

【凪】

……特変という枠から、私は逃れられない


Nagi

様々な理由で……
私は此処にいなければならない。そこに私の気持ちが主張する余地はない。


Nagi

……そもそも私に、気持ちなんてあってないようなものなのだから――


Face_nagi

【凪】

私の平穏を、乱さないで


揺るぎない凪の言葉。
特変一つ目のルールが、事実生まれた。


Face_saya

【沙綾】

はぁ~ぁ、ホントに面倒臭いこと持ってくるんだから~


Face_kenichi

【謙一】

最初は何だって面倒臭いもんだろ? 開墾かいこんする感じ


Face_saya

【沙綾】

だから、どうして私がそういう開墾ことをしなきゃいけないのってことよぉ


Face_saya

【沙綾】

今後はこういうの持ってこないでよね。面倒臭いの私嫌いなんだから


Face_saya

【沙綾】

私は、シ・ゴ・ト、したくないの!


Face_shiho

【志穂】

……それが、お前のルールか


Face_saya

【沙綾】

そういうこと


Face_kenichi

【謙一】

マジなまけ者だな遠嶋……いっそ尊敬しそうになるわ。衒火はどうだ?


Face_kenichi

【謙一】

俺のイメージだと、烏丸並みに即行決まってそうなんだけど


Face_joe

【情】

察しろハゲ


Face_kenichi

【謙一】

ハゲてねえ。それは流石に乱暴すぎるだろ、俺が安易に扱っていいものじゃない


Face_kenichi

【謙一】

しっかり自分の言葉で表せよ。お前の在り方はお前が示せ


Face_joe

【情】

ふん……


強気を崩さない謙一の言葉に情は鼻息で返す。


Face_joe

【情】

この俺様の機嫌を損ねるんじゃねえ


Face_joe

【情】

以上だ


Face_so

【奏】

え!? それだけ!? いや、らしいけど!


Face_saya

【沙綾】

もっと細かく云ってほしいみたいよー


Face_joe

【情】

チッ……要は、俺様の所属するクラスとして見苦しいことをしてくれるなってことだ


Face_joe

【情】

俺の道に、芥が生きれると思うなよ


Face_so

【奏】

(*^▽^*)ピキピキピキ……


Face_shiho

【志穂】

管理職、一触即発だぞどーすんだ


Face_kenichi

【謙一】

取りあえず無視っとくか


セージとローズマリーの葉を詰め込んだ20㍑の袋に顔を突っ込みながら謙一が別の面子に投げかける。


Face_kenichi

【謙一】

譜已ちゃんとかどうよ?


Face_fui

【譜已】

と、取りあえず、先輩が心配で……


Face_fui

【譜已】

先輩が、そんなお薬に埋もれちゃわないように……皆には、喧嘩してほしくないです……


Face_fui

【譜已】

私も、その……いつ“機能アレ”が発動するか、分からないですし……


Face_so

【奏】

むむ……譜已ちゃんらしいお願いが……


Face_so

【奏】

仕方無い……私も、譜已ちゃんの為に抑えていかないと


Face_kenichi

【謙一】

そんな譜已ちゃん教な二邑牙は何かないのか?


Face_kenichi

【謙一】

俺的にはできればコストと疲労を抑えられるようにしたいけど


Face_so

【奏】

イヤですー。私だって自由にお願いごとするんですー


Kenichi

ルール云えよ。


Face_so

【奏】

そうですねー……それじゃ……


Face_so

【奏】

私が、転んでも……その、笑わないでくれます?


Face_kenichi

【謙一】

……は?


Kenichi

何か、意外なものが飛び出してきた。


Kenichi

……………………。


Kenichi

何というか――


Face_kenichi

【謙一】

お前、羞恥心しゅうちしんってもの持ち合わせてたんだな――


顔面に飛び膝蹴り命中。


Face_so

【奏】

そーですよーだ! 自分で分かってますよーだ!


Face_so

【奏】

だから、そういう二邑牙奏も、受け止めてください! 譜已ちゃんみたいに!


Face_so

【奏】

それなら、私にとっても……居心地良い場所に、なるかもしれない……


Face_kenichi

【謙一】

二邑牙……(←鼻血タイム)


Face_so

【奏】

……ま! 譜已ちゃんさえ居れば何処でも構わないんですけどね!


Kenichi

二邑牙が明るく笑う。
自由なお願いとやらを云って、最後には笑い飛ばして……


Kenichi

言葉の重みを、理解してるのだろうか。それを問う資格を、今の俺はきっと持たない。


Kenichi

だから次の面子に回す。


Face_kenichi

【謙一】

佐伯は?


Face_nono

【乃乃】

…………


Face_kenichi

【謙一】

つっても……お前も考える必要、無いわな


Face_nono

【乃乃】

……いいんですか――? 本当に?


Kenichi

分かれ道。
引き返すことのできる限界地点とも云える。
ここから先、迷うならばこの俺の提案は無意味へと帰す。


Kenichi

やるからには躊躇ちゅうちょ無く。
そんな決断の時。
……さっきも云ったように、俺は諦めたのだし、覚悟を決めている。
だったら俺から云えることは、一つである。


Face_kenichi

【謙一】

言葉にしてみろよ、お前のルールを


Face_nono

【乃乃】

…………


それを受け……


乃乃は、一呼吸置いてから、放った。


Face_nono

【乃乃】

このクラスを製造地とし、同時に被爆地ともします。私、核弾頭の……


Face_nono

【乃乃】

もう、文句も云わせません


Face_nono

【乃乃】

皆さんのお尻は、全て私のものです!!


Face_tokuhen

【特変】

「「「……………………」」」


全員暗い顔をした。


Face_nono

【乃乃】

大丈夫ですよ、住めば都っていいますから


Face_so

【奏】

パイセン、何かホントに大丈夫なのかな私たち


Face_kenichi

【謙一】

諦めろ


Face_so

【奏】

いや、男子パイセンの汚いケツと私ら麗しいお尻の価値同等にしないでほしいんですけど!


Face_shiho

【志穂】

んな変わんねえだろうけどなウ〇コするとこってだけだろ


Face_fui

【譜已】

!?!?!?


Face_so

【奏】

!?!?!?


Face_kenichi

【謙一】

!?!?!?


皆ノーコメントで今の発言を忘れることにした。


Face_so

【奏】

そそそういや!! 秋山パイセンはどうなんすか!?


Face_shiho

【志穂】

ん?


Face_kenichi

【謙一】

ルールだよ。秋山の譲れないもの


Kenichi

いわば仕掛け人側に附いてくれた秋山は、俺が9つのルール制を提案してくるのを知っていた。


Kenichi

だがお互い、何をルールとして提案するのかは聞いていない。


Face_shiho

【志穂】

そーだなぁ、私は……


Kenichi

秋山の、譲れないもの――


Face_shiho

【志穂】

私は、放課後に関与してこないならいっかなー


Kenichi

――それは、俺的には意外だった。


Face_so

【奏】

関与しないって……つまり放課後になったらしっかり解放しろってこと?


Face_shiho

【志穂】

そーゆーこと


Face_shiho

【志穂】

私はさっさと帰りたい系女子なんだよ


Face_shiho

【志穂】

帰らせろ。あとはテキトウに過ごしてる――


Face_shiho

【志穂】

――ごがー💤


Face_kenichi

【謙一】

テキトウ過ぎんだろ


Kenichi

だから寝んなよ!!!


Face_shiho

【志穂】

んだよー……そういうおめーは、何の我が儘通すんだハゲ


Face_shiho

【志穂】

こんな提案してくるってことは、お前のはとっくに決まってんだろ


Face_kenichi

【謙一】

ハゲてねえ


Kenichi

……まぁその通りではあるんだが。


Face_so

【奏】

…………


Face_fui

【譜已】

…………


Face_nagi

【凪】

…………


Face_joe

【情】

…………


Face_nono

【乃乃】

…………


Face_saya

【沙綾】

…………


Kenichi

自然と視線と文脈が、俺へと――


Kenichi

狙ってやってるのかが分からないな秋山は……結果的にナイスと評価せざるを得ないのだろう。
云い出しっぺの俺が、もっとカオスになるに決まっているこのクラスに、一体何の釘を打とうとするのか。
察しの良い皆、気になっている筈だ。
誰よりも苦労を背負わされる俺がその対価として打とうとしている一発を。


Face_kenichi

【謙一】

俺は――


Kenichi

なかなか、秋山に感謝だ。
俺は今みたいに、トリを務めたかった。
その釘は――


Face_kenichi

【謙一】

名前で呼ぶ


Kenichi

誰よりもインパクトのうすい、願い事だから。


Face_so

【奏】

…………え?


Face_saya

【沙綾】

名前、って……


Face_nono

【乃乃】

……名前?


Kenichi

二邑牙に加えて、いっつも加害者側な遠嶋や佐伯のレア「?」顔が返ってきた。
他の面子も、声には出さずとも呆気に取られているようなリアクション。
やっぱり順番は大事だ。俺のは、最後に云わなきゃいけなかった。
いや、正確には最後じゃないんだが……まぁ仕方無かろう。


Face_joe

【情】

テメエこそ正確に言葉で示せハゲ


Face_kenichi

【謙一】

ハゲてねえ。分かってる


Face_kenichi

【謙一】

俺たちは恐らく、深い附き合いをしていかなきゃいけない。これから3年間だ


Face_kenichi

【謙一】

まぁその殆どは衝突事故な気もしてるんだが、何にしても、深い附き合いだ。密接だ


Face_kenichi

【謙一】

各々がルールに示したような、譲れないものをじくに、ぶつかり合う。けずり削られる思いもするだろう。それも深い附き合いだ


Face_kenichi

【謙一】

それはきっと妥協だきょうしちゃいけないものだ。自分も、他者も、愚弄ぐろうする行為だからだ


Face_kenichi

【謙一】

俺は、妥協しない為に――呼称こしょうから入ることにした


Kenichi

名は体を表す。言葉は対象object全てを包括し指示する。


Kenichi

まず、そこを大切にしていかなきゃ、管理職として――


Kenichi

アイツの兄貴として生きることは叶わない。


Face_kenichi

【謙一】

秋山は志穂。堀田は美甘


Face_kenichi

【謙一】

烏丸は凪。二邑牙は奏。譜已ちゃん……は最初からそう呼んでるけど譜已ちゃん


Face_kenichi

【謙一】

衒火は情。遠嶋は沙綾。佐伯は乃乃


Face_kenichi

【謙一】

全員に、コレを強いる。それが俺の定めるルールだ


Face_nagi

【凪】

……貴方にとって、その提案は衒火や佐伯のルールと張り合える価値なの?


Face_nagi

【凪】

正直、呼び方なんて、勝手に変わっていけばいいことだと思うのだけど


Face_so

【奏】

私も、そう思った……パイセン安すぎませんソレ?


Face_fui

【譜已】

私に至っては、何も変わらない……


Face_kenichi

【謙一】

変わらないことはないさ


Face_kenichi

【謙一】

まずそこから始めるのが、俺なんだ


Face_joe

【情】

…………


Face_joe

【情】

テメエ、とんだバカだなハゲ


Face_kenichi

【謙一】

ハゲてねえ


Face_joe

【情】

いいだろう。そのルール、受けれてやる


Face_saya

【沙綾】

えっ!?!?


全員にとって、譲れないものをこの荒れ狂うクラスで護っていく、現状とても効果的で合理的な手段。それを今更拒否きょひする意思は、誰も持っていなかった。


しかし井澤謙一の最もインパクトを持たない筈の、インパクトあるルールを衒火情が即行で受け容れたのは色々と衝撃的な事態だった。
取りあえず衒火情が全員を下の名前で呼ぶことに同意したのである。


Face_saya

【沙綾】

ま、マッジで!? 衒火くんマジで云ってるの!?


Face_joe

【情】

そのルールに価値が無いっていうなら、俺たちにはデメリットも無い筈だろうが


Face_joe

【情】

なら、衝突もねえ。わざわざ拒む理由も、ねえ


Face_joe

【情】

まぁ謙一は全く以て無価値とは思ってねえみたいだがな


Face_so

【奏】

うわっ……!


So

衒火パイセンがファスネ呼んだだけなのに何だろこの無駄なドキドキ感!!


Face_so

【奏】

え、えっと……私ら後輩組は、パイセンたちをどう呼び直せばいいんすかソレ?


Face_kenichi

【謙一】

呼び捨てでいいだろ。上下関係とかこのクラスで一番要らないと思う


Face_kenichi

【謙一】

だよな情?


Face_joe

【情】

上とも下とも見ねえよ。芥か否か、それだけだ謙一


Face_saya

【沙綾】

うっわあムズムズする、鳥肌! 鳥肌ッッ、あーもう何で他人の名前呼び合いでこんな思いしてるのよ私!


Face_nono

【乃乃】

私は、無意識ながら名字読みしてませんでしたね……つまりいつも通りなワケですが……


Face_nono

【乃乃】

いいんですか? 私ばかりが得をしているとしか思えないんです、謙一さん


Face_kenichi

【謙一】

それならそれでいいじゃねえか


Face_kenichi

【謙一】

少なくとも乃乃が気にしなきゃいけないことじゃない。ただただ俺が大切にしたいことなんだから


Face_nono

【乃乃】

……………………


Face_nono

【乃乃】

謙一さん、今度創作料理のアイアンメイデン風ニラまんじゅう、試食させてあげますね。せめてものお礼です


Face_kenichi

【謙一】

何の気が回ったのかは知らないけどソレはちょっと遠慮えんりょしたいんだ


Face_shiho

【志穂】

罰ゲーム回避してんじゃん


Face_kenichi

【謙一】

回避できるものは回避していいとする。それでもほぼ逃げられないのが核弾頭だしな……


Kenichi

乃乃がルールとしたのは、「核弾頭」であること自体を止めないこと。


Kenichi

実に区別が難しいラインではあるが、まぁ落としどころとしてこれ以上良いトコは無い気がする。


Face_kenichi

【謙一】

んで、後輩組の話だったな。取りあえず俺を呼び捨ててみろよ。あと凪とか


Face_nagi

【凪】

まぁ、別に構わないけれど。ゆでだこに名前を呼ばれたぐらいじゃ細波さざなみも起きないわ


Face_so

【奏】

ぶん殴りたいけど譜已ちゃんのルールが絶妙に効いてるなぁ~……


Face_so

【奏】

これからもッッッよろしくお願いしますねッッッ凪パイセンッッッ!!!


Face_nagi

【凪】

……これからも私の平穏を乱さぬよう、より意識してくれると助かるわね


二人は熱く硬く苦しい握手を交わした。


Face_kenichi

【謙一】

譜已ちゃん的にあの二人の青くなりかけてる握手はセーフなわけ?


Face_fui

【譜已】

で、できればもっと仲良くしてほしいですけど……いつものこと、なので……


Face_fui

【譜已】

えっと……その……け……け、けん……――


Face_fui

【譜已】

謙一、先輩――


Face_kenichi

【謙一】

うん。ありがとう譜已ちゃん


Face_fui

【譜已】

~~~~……


Kenichi

先輩も要らないんだけどなぁ。
慣れが必要そうだった。これからも真っ先に俺が附き合ってあげないと。


Kenichi

それにしても。


Kenichi

……やっべえ可愛い!!


Face_so

【奏】

あっ! 謙一パイセンが譜已ちゃんをナンパしてるーー!!


Face_nagi

【凪】

なんですって……?


Face_kenichi

【謙一】

え?


次の瞬間、謙一の顔面に烏丸凪のラグビータックルが炸裂した。


Face_kenichi

【謙一】

な……なぜ……(←鼻血リターン)


Face_nagi

【凪】

譜已と仲良くなりたくて、とかの理由でそのルールにしたのが判明したら、悪いけれどすぐさま変更を強制するわ謙一


Face_fui

【譜已】

あの……だから元から、私名前で呼ばれてたんだけど……


Face_kenichi

【謙一】

断じてそんな軽い理由じゃないから別にいいんだけどさ……てか凪、お前割と戦闘イケる系――?


Kenichi

マジで痛かったんだけど今の肘。
流石に何百人を一瞬で掃除する奏と張り合ってるとなれば、それなりに強そうだな……


Face_saya

【沙綾】

……これはもう、慣れていくしかないのよねー鳥肌……


Face_kenichi

【謙一】

ま、そうだな……さっき乃乃が云ってたように、呼称すること自体は軽い行為だ


Face_kenichi

【謙一】

すぐ慣れるさ、沙綾


Face_saya

【沙綾】

……かーくん以外の男性に名前で呼ばれるのは初めて……いや、6人目かな


Face_kenichi

【謙一】

割と居るじゃねえか


Face_saya

【沙綾】

でも、いわば身内以外の人だとホント初めて感覚。名前呼ぶだけでキャーキャーする性格じゃないけどさ


Face_saya

【沙綾】

ちょっとだけ、見直したわ……リーダー


Face_kenichi

【謙一】

名前呼びしないんかい


Face_saya

【沙綾】

だって謙一くんのこと謙一くんって呼んでるとこかーくんに見られたら、あらぬ誤解招きそうだもの


Face_saya

【沙綾】

特に音々が一緒にいるタイミングでそんなこと起きたら……一気に状勢は変わりうる


Face_kenichi

【謙一】

未だにお前の云う学園常識に俺は附いていけてない


Face_so

【奏】

それも慣れますから大丈夫ですって


Face_shiho

【志穂】

んにしても、おめーに志穂って云われんの何か腹立つなー


Face_kenichi

【謙一】

別に俺だけじゃないぞ呼ばれるの


Face_shiho

【志穂】

おめーに志穂って云われんの、何か腹立つなー!


Face_kenichi

【謙一】

二度云う、しかも強調して云うか


Kenichi

流石に泣くぞ。


Face_kenichi

【謙一】

逃げ場はねーからな、志穂。逃げようものなら放課後お前をストーキングしてやる


Face_shiho

【志穂】

そん時は警察に通報だなー


Face_shiho

【志穂】

まっ……んな事件起こしても私は得しないどころか損が回ってくるだけか


Face_shiho

【志穂】

いーぜ、ハゲ。あ、間違えた、謙一。お前のルール、秋山志穂も受け容れてやる


Face_kenichi

【謙一】

ハゲてねえ。サンキュー、これで一歩……確実な一歩を行けた


Face_so

【奏】

そんな感覚、無いけどなー……


Face_shiho

【志穂】

切り拓くスタイルだからな。過去が無いんだ、感覚に頼れないだろ


Face_kenichi

【謙一】

そうだ。間違いなくこれから先も、特変はあっちこっちと脱線するだろう


Face_kenichi

【謙一】

再三さいさん云ってるが、俺はお前ら全員を統率するような器じゃない。そもそも俺が脱線隊長だ


Face_shiho

【志穂】

おめーは頼れる隊長で居ろよ


Face_kenichi

【謙一】

だから引き返す、なんて器用な歩み方もできないだろう。絶望的なほどに迷子にもなるかもな


Face_kenichi

【謙一】

だけど、そうなったとしても――俺たちは、在り続ける


Face_kenichi

【謙一】

在り続けなきゃいけないんだ


Kenichi

それが、少なくとも俺や志穂の確定事項。


Kenichi

皆のことはまっだまだ全然分からないが……それでも離さず、共に行かなきゃならない。


Face_kenichi

【謙一】

依然学園長の意図はいまいち謎なままでも――


Face_kenichi

【謙一】

俺たちは特変。それだけは覚えておけ


Face_kenichi

【謙一】

運命共同体……どんな結末でも、皆で道連れだ


Face_so

【奏】

怖い云い方しないでくださいよ


Face_kenichi

【謙一】

だからお前ら各々、少しでいいから認識しておいてくれってこと


Face_kenichi

【謙一】

俺たちは特変で、どんな道を行くのかってことをな


Kenichi

その為の土台……俺たちが特変であるという事実を、全員が落とし込めるようにする。
それがきっと管理職たる俺のまずやらなきゃいけないこと。だから今回ルールをそれぞれに定めさせた。




Kenichi

……………………。


Kenichi

……だが。


Kenichi

まだ、この作業は完遂していないのは明らかだ――


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