「特変」結成編3-8「言刃(3)」

あらすじ

「こうして君と直接相対している私が、特変と2度も本気で闘った私が云ってるんだよ。君はまた負けると」☆「「特変」結成編」3章8節その3。もう一つの対戦カード、薄本伝道師小松目羅vs優海町冥王相楽珠洲子! 何もかもが素早くパワフルな冥王相手に、智略派目羅ちゃんはどう挑む!

↓物語開始↓


Face_yukina

【雪南】

……謙一が何か仕掛けるのは予想できたけど……まさか――


Face_yukina

【雪南】

我らが薄本伝道師殿まで派手にやらかすとはなぁ。こんなことなら嘘でもついて俺も加担すればよかったかなぁ


Face_mirei

【美玲】

わ、私も~……(泣)


Face_yukina

【雪南】

いやアンタは動いちゃダメだから


Face_kasaka

【夏裟花】

な、何で井澤先輩に味方が……!? 特変側は味方ゼロなんじゃなかったのか……!?


Face_yukari

【ゆかり】

最初から400人側に入って、井澤先輩を助けるつもりだったのかも


Face_yukari

【ゆかり】

……それは、相当に危険な立場に身を置くってことなのに


Face_neon

【音々】

でも、コレで勝率だいぶ上がるよ! 何でかさっきから爆発止まらないし!!


Face_kasaka

【夏裟花】

ま、まあ何にしても勝ってもらわないと俺たち明日無いからな……


Face_toshihisa

【春日山】

……そう上手くはいかない、とも思うけどね。何てったって小松さんが今相手にしているのは……


Face_yukina

【雪南】

優海町冥王様……それこそ特変じゃなきゃ太刀打ちできないだろう実力者


Yukina

 この壁を、どうやって乗り越えるつもりなのかな、目羅ちゃん……それに謙一は――!


……………………。


Face_suzuko

【珠洲子】

とっとと――


珠洲子打撃


Face_suzuko

【珠洲子】

ぶっ潰れろや!!


conflict


Face_mera

【目羅】

あいにく、私はとてもしつこいことで有名でね……!!


Face_mera

【目羅】

伊達に薄本伝道はしていないのだよ、冥王殿――!!


dageki


Face_suzuko

【珠洲子】

チッ……めんどくせえ闘い方しやがって


Face_mera

【目羅】

ところで、冥王殿はずいぶんと男勝りな口調だよね、私的にはソレはソレで大変そそるものがあるのだが、時に男装趣味とかには目覚めては――


Face_suzuko

【珠洲子】

伝道してくんなやッ!!


Face_mera

【目羅】

っと、会話を遮るそのがさつさも私的には好しかな


 井澤謙一と沼谷嘉祥の激闘の隣で、
 この二人の闘いも熾烈を極めていた。


Face_suzuko

【珠洲子】

調子狂わせやがって……


 トンファ使い、とビジュアルからは評価される相楽珠洲子であるが、その武器はトンファに限らず手足、身体全体を用いた高速且つ柔軟な打撃と幅広い。
 「攻波」の装甲に波を作り、適切なタイミングで爆発的な速度で構築した万気相の強化で以て相手の隙を突き、時には無理矢理こじ開けて、そこから高速の連続攻撃を叩き込む。


 故に彼女と接近戦で臨むのは愚かである。小松目羅もそれは分かっていた。


Face_mera

【目羅】

ッ――にしても、矢張り格が違うな……


 しかしながら、彼女は接近戦を展開していた。
 彼女自身の護真術の特質からしてそうせざるを得なかったというのもあるが、それにしても目羅はまだ会話の余裕を作っている。


Mera

 受け身からのカウンター……それが私の基本なんだが、一体何処に私の反撃を赦してくれる隙があるのだろう。気付けば2打3打とトンファやら蹴りやらが叩き込まれている。そしてその一撃一撃が、軽くない。


Mera

 衒火氏に打ち負けたとは聞いたが、矢張りこの冥王殿は優海町において最強クラスの実力者、ということ……とても私では敵わないし、相性だって悪すぎる。


Mera

 だが……それでも、全く以て勝機が見えないというわけじゃ、ない……!


Face_mera

【目羅】

はあっ――!!


 2mを超える大剣。それが小松目羅の表示武器であった。
 それを真っ直ぐ、圧倒的な相手へと振り下ろす。


Face_suzuko

【珠洲子】

ハッ、何だそりゃ――当たるわけねえだろ


 観客の誰もが当然と思える。こんな攻撃が、当たるはずがない。
 事実彼女は苦労もなく、人ごみを歩く程度の自然さを保ったままソレを避けてみせた。


Face_mera

【目羅】

だろうね!!


break


 真っ直ぐ放たれた圧撃は、珠洲子を捉えることなく地面を叩く。
 地面に鋒が深くめり込む……すると両手で柄を持っていた目羅は、その衝撃で上空を舞う。


Face_suzuko

【珠洲子】

ッ――!


砂嵐


 それと同時に……大剣から砂嵐が「射出」される。
 予想できない目潰しを間一髪で回避したが、目を閉じその不意打ちに気を持ってかれた瞬間に自分に隙が発生しているのを珠洲子は理解した。


 そして、ソレを確実に狙ってくる相手だということも!


乃乃靴べら


Face_suzuko

【珠洲子】

甘えんだよ!


 上空から何かが迫る気配。
 目を閉じていても、それさえ察知できれば後は容易い。
 珠洲子がそれをトンファで払うと同時、何とか無傷で済んだ視界を開く。


 ……だが、更に同時、珠洲子はその手で払った攻撃から自分の予想していたものとは全く違う感覚を受けていた。


Suzuko

 今のは……ただの石ころか!?


 上からの奇襲は、単なる投石。
 それが本命の攻撃である筈もなく。


 珠洲子が想定していた本命の一撃は、真横から来た。


乃乃靴べら


Face_suzuko

【珠洲子】

ッ――!


 「硬部」で以て徹底的に固めた掌波。
 反射で「硬体」をとった珠洲子だが、この一撃をノーダメージとすることはできなかった。


目羅戦闘


Face_mera

【目羅】

ッ――恐ろしい反射神経だな……!


Mera

今のを防御されるとは……絶望感甚だしいね。



Face_suzuko

【珠洲子】

効か…ねえよ……!!


 仕返しと云わんばかりの、即座の反撃。
 それを目羅はぶっ刺さっている大剣の後ろに隠れるようにして防御に成功する。


Face_suzuko

【珠洲子】

本当に、ムカつくなテメエは――!!


Face_mera

【目羅】

怒ってばっかりだね、冥王殿は……! そんなに強いんだからもうちょっと血管を休ませてあげればいいのに……!


 小松目羅に限らず、平均的な身長の女子に2m超えの両手剣は当然扱いにくい。重量もあり、目羅はこの武器を軽々と振るうことができず、普通に考えたら却って足手まといになるアイテムでしかない。


 だが、それでも彼女はこの武器を利用した護真術を習得している。
 それはこの大剣を武器とするのではなく、状況を打破する為の一道具として柔軟に役立たせ、作りだした状況に素早く自身の身体で適応する。
 そうするにあたって自身の体質である「防防ⅠⅡ」型である万気相をふんだんに利用して敵と接近戦を維持するずば抜けた耐久力を持ち、また相手がどれほど格上であっても怯まず作戦を練り続ける強靱な思考力もある。


 二邑牙奏のような派手で強力な護真術は持っていなくとも、彼女の闘い方は決して脆弱ではなかった。
 犯罪社会で生きていくにあたり、寧ろ見事と評すべき護真術。


 それをこの土壇場でも遺憾なく発揮し、ダメージを蓄積しつつも相楽珠洲子と長期戦を展開してみせていた。


Face_mera

【目羅】

はぁ……はぁ……よいしょ、っと――


Mera

 軽く跳躍し、柄を持ち力を入れて……地面から剣を抜く。
 だいぶ手が痺れてきた……それだけ、冥王殿の攻撃を重く感じてるという証拠だ。


Face_suzuko

【珠洲子】

……合唱祭ではあんな張り切ってた癖して、今は特変に媚びへつらってよ


Face_suzuko

【珠洲子】

気に入らねえ……テメエの情けなさったら。見てて失笑もんだ


Face_mera

【目羅】

フッ、耳が痛いね……だが、人のことを云えるのかな相楽くんは


Face_mera

【目羅】

君が特変を倒したい理由は少なくとも一つ想像できるが、そんなことの為に随分と情けない手に従ったじゃないか……


Face_mera

【目羅】

冥王殿は高みの見物が趣味の平賀殿に跪いて、恥ずかしくはならなかったのかな? 私を見て失笑するんだったら、君自身はどうなんだ?


Face_suzuko

【珠洲子】

勘違いすんな。オレはあんな、座ることしかできねえ雑魚と連んでなんかねえ


Face_suzuko

【珠洲子】

勝手に近くで燥いでるだけだ。興味ねえし、邪魔ならすぐ潰す


Suzuko

 だが……その前に、どうしてもやらなきゃいけないことがある。
 オレは、強いんだ……やっと見つけたオレを、誰にも奪わせなんかしない。


Face_suzuko

【珠洲子】

取り戻す――制度なんかどうでもいい。オレが、全員潰してやるんだよ


Face_mera

【目羅】

衒火氏に負けたくせに、その自信。RPGだったら二度目の死闘を制する展開もあるだろうが、特変という現実ではそうもいくまい……


Face_mera

【目羅】

どうせ君は、また負けるよ


Face_suzuko

【珠洲子】

――んだと――


Face_mera

【目羅】

こうして君と直接相対している私が、特変と2度も本気で闘った私が云ってるんだよ。君はまた負けると


Face_mera

【目羅】

君だけじゃない……沼谷氏だって、勝てないだろうさ。特変というのは、そんな簡単に壊せる壁なんかじゃない


Face_mera

【目羅】

寧ろ、こっちが壊されるくらいさ! 気持ちの良い、くらいにね!


Face_suzuko

【珠洲子】

……弩変態も、大概にしとけよ……


珠洲子戦闘


Face_suzuko

【珠洲子】

雑魚がオレを見下してんじゃねえよ!!


 爆発。
 周囲の爆撃に劣らぬ轟音が、相楽珠洲子の両腕に疾走する。


Face_mera

【目羅】

見下したつもりはないんだがね!! 私の見識から導いた一つの事実を云ったまでだ!


Face_mera

【目羅】

まあ、余計な忠告も入っていたかもしれない、がっ!!


MeraOut


 大剣を再び地に叩き込む――そして今度は多量の砂嵐が吹き荒れる。


砂嵐


Mera

 流石に、あんなにぶっとい一撃を食らいたくはないからね……。
 私にヘイトが向いている今なら井澤氏に直行するとは思えない。少し行方を暗ませて時間稼ぎと洒落込もうか――


Face_suzuko

【珠洲子】

テメエとの時間は――


Face_suzuko

【珠洲子】

終わりだ――!!


bakuhatsu


Face_mera

【目羅】

ッ――何!?


 相楽珠洲子は、盛大に溜め込んだ一撃をすぐさま放った。
 地面に。



 吹く砂嵐を悉く吹き飛ばすほどのエネルギーが地面に。
 すぐさま、周囲一帯の地が、バキバキに割られていく!


 その地盤の崩壊に、大剣と目羅が巻き込まれ動きを制約された。
 それが致命的なカウンターの確定を意味することも、眼前に彼女が現れる1秒前から目羅は理解した。


SuzukoOut


Face_suzuko

【珠洲子】

――『冥王天撃』”


珠洲子打撃


 逃げ場を破壊された小松目羅が次なる策を立てる余裕を全く与えず――
 これまで同様に即座のコンボを叩き込む珠洲子。


珠洲子概説


 といってもそれは一撃。
 後方からジェット噴射させたトンファをそのまま一直線に、敵を消し飛ばさんとする並川羽生瞬殺の冥王奥義。
 目視で大袈裟に測るなら、青あざ確定の彼女の通常攻撃の5000倍の威力はありそうなソレが目羅に、完璧に叩き込まれた。


bakuhatsu


Face_mera

【目羅】

ッ――は――!?


 残された時間で有りっ丈の硬部を纏おうにも、所詮は初等技術を使った防御強化。この時ばかりは焼け石に水であり、この闘いの終止符の1発だという事実を塗り替える力はなかった。


 爆発的な火力によって高く打ち上げられた、目羅は。
 力無く、時間をかけて、普通に人の居る前方観客席に落下した。


break


Face_noname

【男子】

あっぶねー……!?


Face_noname

【女子】

ちょ……私の椅子壊れたんだけど……!? こ、こんなの絶対死んでるでしょ……!?


 砂煙と悲鳴のあがる一部観客席……そこを見遣ることもなく、相楽珠洲子は相手をシフトする。


Face_suzuko

【珠洲子】

……今度はテメエだ――井澤謙一


 邪魔者は居なくなった。
 珠洲子は瓦礫と化した足場を、渡りにくそうに、歩いて行く……
 井澤謙一の方向へ――


Face_suzuko

【珠洲子】

ッ――!?


break


 ――跳んだ。
 というよりは転び逃げた。直後に砂煙に包まれる。


 さっきまで自分が歩いていたところに、ソレが落下してきたのである。


Face_suzuko

【珠洲子】

コイツは――


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