「特変」結成編3-7「裏切者(2)」
あらすじ
「……うざってえな……」☆「「特変」結成編」3章7節その2。目羅ちゃんが特変側に寝返る! 会場の混乱のタネ、すなわち裏切り者に気付いた平賀先輩ですが、息継ぎの暇もなくもっともっと超展開が怒濤します!
↓物語開始↓

【怒田】
ッ――
Ikarida
矢張り……そういうことか。

【安田】
~~……(気絶)

【石黒】
~~……(気絶)

【此村】
~~……(気絶)

【怒田】
次々とコッチの有力な選手たちが、井澤が中央に立ったまま、倒れていくこの事態――
Ikarida
その真実は――

【平賀】
ッ――小松目羅ああぁあああああああああ……!!!
平賀
暗殺者が、紛れ込んでいるッ!!
平賀
並川だけじゃない!!
この僕の根城の中に、裏切り者が紛れ込んでいる――!!

【平賀】
絶対的不利、味方をすれば即見せしめられるあの状況を知ったにも関わらず、井澤に寝返った奴が!!

【平賀】
井澤側ではなく僕側として参加することで、井澤を味方している!!
平賀
何故だ――! この僕に逆らえばどうなるか、分かった筈だ!! 小松目羅、お前も沼谷と会っていたなら、藤間の貼り付けをしっかり目撃していた筈だ!!
しかもお前に至っては、特変を目の敵にして何度も戦いを挑んでいた筈だ!!
平賀
なのに――

【平賀】
この学園を、学園生を、僕は支配していた筈だ――

【平賀】
それでも抗おうとした奴は徹底排除して可能性を殺してきた筈だ――

【平賀】
なのに、ここまでして、勝てるわけのない場を創り出して、そんな僕ではなく悪しき特変に味方をする、愚かな思考は一体どこから出てくる――!?

【平賀】
答えろ、小松目羅ぁあああああ――!!?
平賀利家の叫びは、
突然の舞台の爆発によって、すぐさま掻き消された。
完璧を確信していた平賀利家に、無駄だとでも云うかの如き、遙かな轟音。

【平賀】
何だ……何が……
平賀
いや……最初から裏切った上で参加している者が居たなら、この401人が動き回る中で何かを工作する隙はあっただろう。加えて井澤が想定以上の力を隠し持っており、それに会場が動揺していた。
平賀
それすら……計算していたとしたら。
開始から一体何分経過した……? この会場を何周できるくらいに時間が――?

【平賀】
一つなわけが、ない……怒田、爆弾を探せ――

【平賀】
クッ――応答、しろッ……! 怒田あぁああああああ!!
……………………。

【千栄】
――ブホェェッ!!!
爆発音で拝田千栄は起床した。
唾ではなく血を吐きながら。

【千栄】
はぁ……はぁ……えっとぉ……?
Chihae
確か、私は――
千栄は、下を見下ろした。
爆風で荒れる試合会場。
落ちないよう気をつけて顔を出しながら、双眼鏡であの男子を探す。

【千栄】
うっはー……井澤くん血塗れじゃーん……って、あれ他人の血か。んで、何でか小松さんもすっかり目立ってて……沼谷くんと相楽さんが相手かー。こっからが本番って感じ

【千栄】
……てか流石に優海町冥王様の素早さ半端ないわー……あと少し遅れてたら私あと半日は寝込んでたかも……
Chihae
お腹をさする。
凄まじい違和感。正直吐き気が半端ない。

【千栄】
……さて、私のノルマは達成っと。他の皆も、見た感じOKかな……?
Chihae
お、暗殺済みの安田先輩はっけーん。徳川さん達も順調にやってるねー流石。
分隊長が削られた分、だいぶあっちも統率が取れなくなってきている。それに加えて、この爆撃開始。
Chihae
ここまで上手くいくと、逆にこっから先が怖くなってくるねー……具体的には――

【千栄】
勝ってよねー……井澤くん、小松さん……
……………………。
一方その頃。

【謙一】
……良い調子だぜ。タイミングといい火力といい……お前の“機能”とか初めて見たけどさ

【謙一】
正直今まで奇襲で教室爆破されてなくて良かったわ
井澤謙一からの無線を受け取っていた彼女は、喜ぶわけでもなく寧ろいつも通り溜息をついていた。

【廿栗木】
ほんっと、恨むからな……?

【謙一】
今度なんか奢るよ――って四谷が居るんじゃあんまり魅力的でもないか

【廿栗木】
いい、そんなのいいからあんま関わりに来んな特変
Mami
無線終了。つってもクラスインしている限りは会話は丸聞こえなわけで……
どうやら小松が真ん中に移動して、平賀に絡繰りがバレたってのも遠くから見て聞いてて分かった。
Mami
ってことで具体的に何を仕掛けられたかを警戒される前に、あたしは「発動」した。
Mami
爆風と業火の中を、歩く。
仕掛ける場所は予め決めていた。拝田と井澤が何とかして敵をできるだけ舞台の端っこに寄せるから、頃合いを見てその場所を爆破しろと。
そこまで融通は利かないから、どの辺の端っこに寄せるのかが最後まで懸念事項だったが、満遍なく広がってくれたのでそのまま一気に連続発動。
Mami
よくよく考えたら、この地雷はそう易々とは見抜かれないっぽいから平賀の気付きに敏感になる必要は決して無かったんだが、まあ結果的には一気に周りの数減らして勝負どころのテンションじゃなくしたし、これで井澤と小松があの化け物二人に集中できる環境にはなったか。
Mami
すんげえ働いてるなあたし、ホント恨むぞ。
いきなり誘ってきた井澤らといい、勝手に捕まった岩伍郎といい、それを止めようとした侑代といい……

【廿栗木】
……うざってえな……
Mami
そんなにこの学園で一番になることって、大事なのかねぇ。
それが私の、この革命に対するたった一つの印象だった。