「特変」結成編3-6「罅(2)」

あらすじ

「早く並川を鎮圧しろ!! 棍棒を振るった瞬間の背後を狙え!!」☆「「特変」結成編」3章6節その2。3年の最強クラス・ジャイアント並川先輩が登場するも即行で意外な展開に! 智戴の平賀が焦ります。

↓物語開始↓


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 並川羽生の護真術は、ざっくり云えば広範囲蠅叩き。


 その巨体と重量を活かした棍棒の一撃は、大半の敵をあっという間に地面に埋めて無力化させてしまう。
 地面に埋めずとも、例えば横から振るった場合にはゴルフ的な感じにぶっ飛んでいくこともある。これをやる場合、一つ心配なのが仲間を巻き込みかねないこと。だから並川が戦闘態勢に入った途端、彼女を知る仲間達は距離を取ったのである。


 ――だが。


Face_danshi

「「「ぐああぁああああああ!!!」」」


Face_joshi

「「「ぎゃあぁあああああ!!?」」」


 それとは別の、異常事態が今平賀の視界で起こっていた。


Face_hiraga

な――に――


 並川羽生の広範囲蠅叩きによって、多くの駒たちが悲鳴を上げて、散っていた。
 それ自体は上述の並川の護真術の特長ゆえ、起こりえることかもしれない。
 だが、平賀はそうじゃないと一瞬で理解していた。


 並川の攻撃は、距離を取っていた筈の仲間たちを巻き込んでいた。
 一方で、距離を詰めていた井澤謙一は無傷であり……寧ろ今、距離が離れていた。


 つまり、こういうことである。
 並川羽生が、意図的に平賀勢を攻撃している。


Face_ikarida

並川――!? お前、一体何を!?


Face_hiraga

裏、切り――? 並川が、僕を、裏切ったというのか――?


 怒田中や此村宇代と共に自分の栄華を築き上げてきた、平賀の城の一柱。それが並川羽生であった。
 そんな彼女が今、その城を崩しにかかっている事実!


Face_hiraga

巫山、戯るな……並川あぁああああああ!!!


Face_hiraga

早く並川を鎮圧しろ!! 棍棒を振るった瞬間の背後を狙え!!


 怒りが爆発していても尚、冷静な指示は飛ぶ。
 しかしソレに応えられる程の駒が幾つあるだろうか。


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Face_kenichi

うっわー……俺こんなのと対峙しなきゃいけなかったの……?


Kenichi

 本当に本気で今日を迎えてきてるってのがよく分かる。メガホンの怒声からも分かる、平賀にとってこの並川って人がどれだけのポジションに就いていたのか……


Kenichi

 って冷静にコメントを頭に浮かべているが、実際俺も何が起きてるのかは分かってるわけじゃない。ただ、天感が奔ったからな――この人は、奴らの不動の勝利を揺るがす強力な武器の一つになると。


Kenichi

 勝手に暴れていてもらおう。俺は、それよりも――


Face_kenichi

……まさか、こんな混乱した状況で構わず俺に突っ込んでくるとは


 背後から迫ってきていた一撃を跳び躱す。
 それは鋭い突きであったと回避後に理解する。


Face_kenichi

ある意味冷静なのか、それとも単純にバカなのか……どちらにしても、この場では多少は強敵に値するか?


Face_bozu

テメエと同じ1年の、鳬端だぁ……テメエは今、この俺が倒す


Face_kenichi

そのとんがり頭……思い出したぞ、お前何回か乃乃の罰ゲーム食らってるよな


Kenichi

 いちいち奇襲に参加しては、情に見向きもされず叩きのめされて、乃乃の罰ゲームを味わってぐったりと帰っていく被害者筆頭。


Kenichi

 ていうか全然懲りてない様子を見ると、やっぱり単純にバカな奴なんだと直感せざるをえない。ある意味大物だ。


Face_kenichi

お前の武器はその石頭かよ


Face_bozu

くたばれ、井澤ぁ――!!


 鳬端防頭の坊主頭が迫る!
 どう見ても頭突きの体勢。それに対して、謙一は――


Face_kenichi

ヒットエンド――



Face_kenichi

ラアァアアアアアアン!!


 使い慣れ始めていた金属バットを全力で振るった。


 結果、金属バットが折れた。


Face_kenichi

マジかよ!?


Kenichi

 金属バットが負けるほどの、石頭!? いや、この強硬さ……万気相を纏ってるだけじゃない、恐らくこれが鳬端の“機能”なんだろう――!


Kenichi

 正直もっと応用の利く能力はなかったのかと場違いな感想を持つ俺である。


Face_bozu

ヘッ、ざまあ見ろ……コレでテメエの武器一つ潰したぜ。さっきの雑魚共みたいにはいかねえよ、何てったって――


Face_bozu

この俺だからな――(←ざくっ)


 自慢げになって“機能”による強化が解けたところを見過ごさず、折れて刃物と化した金属バットを石頭にぶっ刺した謙一である。


Face_kenichi

まあ、お陰で新しい武器が手に入ったけども


Kenichi

 コイツバカだなあぁ……。


Face_shimura

お、オイ! 鳬端がやられたぞ!! ていうか敵前で武装解くバカがいるか!!


Face_ikarida

しかし、井澤を狙うのは悪くない手段だ。此村、今お前何処にいる? 場合によっては、もうお前が出て早々に井澤を片付けても構わない!


Face_ikarida

並川にこれ以上暴れられるなら、長期戦には絶対持ち込んではならない!!


Face_shimura

ああ、分かった、安田たちと一緒にグアッ――


Face_ikarida

……此村? オイ、返事しろ此村!


Ikarida

 無線が、途絶えた――神輿を多少登り、井澤を確認する。
 奴は鳬端を仕留めたばかりで、近くに此村の様子は見えない。


Ikarida

 もし此村ほどの実力者がやられたとすれば、並川に巻き込まれたぐらいしか考えつかないが……普通並川が近くに来ていたなら避難するはずだ。その焦りは俺にも伝わってくるはず。


Face_ikarida

……なんだ……


Face_ikarida

今、この場所で……一体、何が起きている――?


Ikarida

 ――と。


Ikarida

 ボンヤリとしかけた意識は、ふと視界にて泳いだ何かに自動で引っ張られた。


Face_ikarida

――?


Ikarida

 一瞬だが――何か、妙な動線を歩いている、この場の混乱の中においても不自然な気がした学生が居たような――


Face_ikarida

ッ……!


Ikarida

 更に直感か。
 ふと後ろを振り向く。だが、誰も居なかった。
 それでも気配はしたから、周りを見渡した……すると、フードを被った誰かが……


Ikarida

 ただ、混乱の中を歩き彷徨っていただけだろうか。
 スカートを穿いているのを見る辺り女子のようだが――


珠洲子打撃


Face_namikawa

――ぐおおわあぁあああああ……!!


Face_ikarida

……!!


 怒田の意識は、今度は並川の巨大な断末魔に引っ張られた。


Face_ikarida

何があった!!


Face_hiraga

……やっと、動き出したか。教育は不充分とはいえ、少しは駒らしく働いてほしいものだ――


Face_kenichi

……!!


Kenichi

 並川先輩が……
 宙を、浮いてる――?


Face_kenichi

って、ちょ!? こっち落ちてくるし!!


break


Face_suzuko

……数いりゃ良いってもんでもねえだろうが


Face_suzuko

全員邪魔臭え、オレがやる


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