「特変」結成編3-5「開戦の朝(1)」

あらすじ

「さあ、彼らは一体、この朝を、今から起こることを、どんな気持ちで、見届けるのだろうか――?」☆「「特変」結成編」3章5節その1。いよいよ革命の日を迎えた謙一くんは、スッキリした心持ちで学園へ向かいます。

↓物語開始↓


Kenichi

 ――この夢には、覚えがある。


Kenichi

 ていうか、普通にかつて現実として存在していた。
 俺は毎日毎日、蛍菓姉にぶっ飛ばされて、文句云ったら更にぶっ飛ばされて、そんな感じに育ってきた。


Kenichi

 何で、俺は弱いのか? 蛍菓姉に勝てないのか?
 それに対して、あの怪力女はただ、「やりてえことがぶれてるから」と云って、またぶっ飛ばしてきた。


Kenichi

 あの人は甚だ嫌いだが……あの時云ったあの言葉。その意味は、今になって分かりかけてきている。
 ぶれない俺など存在していなくとも、何かをやりたい俺は存在して……
 亜弥と出会い、亜弥と過ごしていく中で……俺は、多少は成長できただろうか。


Kenichi

 あんな怪物女の力なんて、欲しくなかった。地獄の殺法なんてものよりも、亜弥と笑って辞書を見て時間を過ごせる自分が欲しかった。
 だけど、手に入らず……俺は、益々歪んでいく。


Face_kenichi

――それもまた、俺の真実である


Kenichi

 故に、目を背けても、いられない。



Face_ami

兄さんの、真実ですか?


Face_kenichi

亜弥は知らなくて良い側面のな。ということで教えなーい


Face_ami

うー……


Face_kenichi

そんな滅茶苦茶可愛い過ぎて抱きしめたくなる膨れっ面してもダーメ


Face_ami

朝から抱きしめてくださるんですか――!?


Face_kenichi

食事中だから……


Kenichi

 まだまだ亜弥は、俺に対する敬称が消えない。
 つまり、まだ時間が要る……ということだろう。


Face_kenichi

……亜弥


Face_ami

何ですか? 兄さん


Face_kenichi

今日俺、いつもの数倍満身創痍で帰ってくるかもしれない


Face_ami

では今日は兄さんを束縛して登校を――


Face_kenichi

食事中だから……


Kenichi

 俺に、兄弟姉妹は居るのだろうか?
 親父とお袋は共に、「居ない」と答えた。
 清明兄と蛍菓姉はそれに近い関係だが、一般的にまず想像される血縁関係では、居ない……と。


Kenichi

 それなりにデカい家に生まれた割には、独りっ子なんだなぁと少し意外に思った。
 だから、あの家を継げという半透明な声が、不定期に幻聴として俺に入ってくるわけだが……ぶっちゃけ、俺はそれをどうでもいいと一蹴したいのだ。


Kenichi

 あのクソジジイなんかより、俺は亜弥のことが大切なのだから。


Face_ami

ど、どうして――兄さん、今週は退屈な試験期間だと……


Face_kenichi

それが、今日いきなり体育祭入っちゃってさー


Face_ami

お祭りって、そんないきなり挿入されるものなんですか……?


Face_kenichi

ウチではよくあることだな


Kenichi

 ……さあ、またこの家に帰ってくる為に。
 妹とこの先の時間を過ごしていけるように。


Kenichi

 俺も、少し燥ぐ一日の始まりだ――


290705


Face_kenichi


Face_shiho


Kenichi

 バイクで走ってたら、見慣れたマフラーを発見。
 速度を落とすとマフラーはタイミングを見て、俺の後部座席に飛び乗った。


Face_kenichi

え、座らないの? 立ったままなの? 超NINJAっぽいけど交通法的にコレしょっ引かれない?


Face_shiho

いいから走れや。おめー結構良いバイク乗ってんな


Face_kenichi

相棒のコクローだ。懸賞で当てた


Kenichi

 直立した志穂を案じて時速30kmぐらいで走ってあげる。


Face_shiho

……私らは直接職員棟にもう入る。お前はGACだな


Face_kenichi

ああ。そうだ、お前のワックスとアルス、貸してくれるか? 沙綾、凪、奏からはもう預かったんだけど、もう一人分欲しくて


Face_shiho

おら


Face_kenichi

おっと……サンクス。これで……準備は万端か


Face_shiho

どうやら、ホントに何とかする策を作ってきたみてーだな


Face_kenichi

お前も、そうじゃなきゃ困るんだろ? この学園に居ると有利なんだったか


Face_shiho

くだらねえこと覚えてんな


Face_kenichi

くだらねえことではないだろ。お前がそうでなかったなら、俺は合宿を乗り越えられてない


Face_kenichi

……感謝してるんだよ、これでも


Face_shiho

……気持ち悪いな、お前……


Face_kenichi

俺もそう思った


 停止する。
 二人の道は、此処から分かれるからである。


Face_shiho

……なあ、謙一


Face_kenichi

どうした?


Face_shiho

いつか、お前の家、行ってみたい


Face_kenichi

……………………


Face_kenichi

……………………


Face_kenichi

…………いつか、ね……?


Face_shiho

露骨に嫌そうな顔すんなゴラ(←蹴る)


Face_kenichi

蹴るなよ懸賞で当てたんだぞ!?


……………………。
……………………。
……………………。



Face_kenichi

……うっす。徳川


Face_akitsu

あ……


Kenichi

 GAC会場の前で、徳川と会う。


Kenichi

 ……手筈通りに。


Face_akitsu

……………………


Kenichi

 真意を読み取り、徳川は建物から遠ざかっていく。
 行き先は……俺の、少し遠くに置いてきた、駐車場の……


Face_kenichi

……アイツらは、もう入ってるんだったか


Face_kenichi

――クラスイン


……………………。


Face_kenichi

……楽しいねぇ


Kenichi

 亜弥の手前で、こんな兄はみせたくないのだが……
 こうやって悪巧みするのは、実は嫌いじゃないんだよな。顔に出るくらいには。


timeskip

Stage: GAC 101会場


AM9 00


Kenichi

 ほんとは、もっと陰鬱な空気を漂わせてた方がいいんだろうなぁ。
 でも、皆云うんだよ。俺は顔に出てるって。


Kenichi

 いっそ堂々としてた方がいいかもなぁ。


Face_kenichi

……人の気配、パない


Kenichi

 廊下を歩く。
 打ち合わせ通り、控え室を出て、そして今試合会場、もとい処刑場へと俺は歩いている。


Kenichi

 凄まじい人の臭い。
 まず俺が視界に入れるのは、俺を囲み、俺を袋叩きにするお相手さんで、それからそんな情けない姿の一部始終を見届ける観客たち。
 話によれば、一般学生ほぼ全員が、ここに集まっている。欠席者は両手の指で数えきれるとか。


Kenichi

 昨日の、朝の空気を思い出す。
 奴らは――全員敵。
 いや、奴らからすれば俺こそが最も殺さねばならない敵であり、故に革命を肯定している……と強調すべきか。


Kenichi

 さあ、彼らは一体、この朝を、今から起こることを……
 どんな気持ちで、見届けるのだろうか――?


Face_menoha

さあ、平賀派の選抜400名、全員舞台入り完了です! 続きまして、満を持してこの先輩に登場していただきましょう――!!



Face_menoha

たった一人で対峙する――特変の頂点・井澤謙一ぃいいいいいい――!!!


Face_kenichi

おうおう……それなりに持ち上げてくれるじゃんか


Face_kenichi

ああ、そうだな、楽しい一日にしようじゃねえか――屑共


 7月5日。午前9時。
 GACの101会場にて――


 最大級の特変破りが、今、幕を開ける――


Face_menoha

特変破り――


toppa


Face_menoha

すったあああああああああああっっっと――!!


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