「特変」結成編0-7「核弾頭」

あらすじ

「自己とは何か? それを考えた時、佐伯乃乃が佐伯乃乃であると裏付ける要素……主観的客観的事実、それは「核弾頭」です」スタジオメッセイのメイン作品『Δ』、「「特変」結成編」0章7節。無事卒業式を終えた謙一くんに、次なる特変面子との接触が待っていました。その名は佐伯乃乃、真理学園のC等部校舎で待ち合わせる彼女の二つ名は、およそ女子に、そもそも人間に付けられるものではない「核弾頭」。謙一くんはこの日のうちにその理由をしっかり納得するのでした――

↓物語開始↓

Stage: 謙一の母校


Face_kenichi

卒業式が終わった


Kenichi

皆思いの外泣いてたなぁ。


Kenichi

C等学生の時のノリとは全然違うんだな、何というか、本当に「今、別れの時」って感じがした。


Kenichi

一方で「今、別れのストッキング~♪」とか意味不明なことを歌ってたアホも居たな。主に俺の隣のビアス君たちだが。


Kenichi

それは良いんだが、何故か卒アルの一番後ろの白いとこにメッセージ書いてコーナーで俺の前に行列ができた件。
話したこともない人に一体何のメッセージを送れと? 書いたけども!!


Face_kenichi

何でぼっちの俺が一番書いてんだよ……


Kenichi

逆に俺の卒アルの一番後ろは依然真っ白なままってね。
これは軽く神秘レベルですわ。亜弥に相談してみよ……。


Face_kenichi

そういや徳川はちゃんと卒アルを彩ってもらえたか?


Face_akitsu

……え、わ、私――!?


Kenichi

下駄箱までの道、さりげなくほぼ隣を歩いていたTHE・クラスメイトに話題を投げる。


Face_akitsu

わ、私も、あんまり書いてくれなかったなぁ、って……(謙一くんに話しかけられたぁああ――!?)


Face_kenichi

そっか。まぁ今生こんじょうの別れってわけじゃないからな。少なくとも俺は徳川とは同じ進学先だし


Face_akitsu

う、うん……


秋都、可成り真っ赤である。


脳が舞い上がってるのである。


Akitsu

い、今ならば、謙一くんに話しかけれるかも。


Akitsu

謙一くんともっと話ができるかも……!


Face_akitsu

も、もしかしたら、井澤くんとまた同じクラスかも――


Face_kenichi

あ、多分それは無い


勇気を出して話題を返した結果、絶望が返ってきた。


Face_akitsu

――え?


Face_kenichi

いや、実は俺既にクラスが決まっててな


Face_kenichi

学園長に言伝ことづて頼まれたってところからしても……徳川はこのクラスと、関係が無いんだと思う


Kenichi

遠嶋沙綾曰く「サプライズ好き」な学園長だから、仕掛け人的な発想でもしない限り、徳川と俺を関係させないだろう。
そして徳川自身が嘘をつけない性格に思えるし、この調子じゃ本当に何も知らない。


Face_kenichi

徳川が学園長に気に入られてない限り、な


Face_akitsu

……そ…っか


Face_kenichi

マンモス校らしいし、下手すれば同じ学校だけど在学中一度も話さないってことも起こりうる


Face_akitsu

そっ……か……


容赦無い唐変木。


Face_kenichi

……ん? あれ、徳川どうした?


Face_akitsu

何でもない、何でもないよ……ひひひ……


Face_kenichi

おい、軽く怖い笑みこぼれてるぞどうした!?


秋都をへこませて遊んでいた謙一。


そんな二人が校門を潜ろうとすると……


Face_kenichi

……ん?


Face_akitsu

あれ――?


視界に入ったのが、先日の遠嶋沙綾を思わせるような、待ち伏せの制服。


Face_mera0

おやおや……やっとお出ましか


遠嶋沙綾ではないが、女子。


フレームが厚い眼鏡を専用の布で拭いていた彼女は、二人の姿を発見して眼鏡を掛け直した。
そして矯正された視力で二人を――正確には男子の方を認識し、ニヤリと笑った。


そんでもって躊躇ためらいなく近付いてきた。


Face_mera0

といっても、今日が卒業式だということを考えたら、随分と早く出てきたなと評価すべきかな


Face_kenichi

まぁ、俺基本ぼっちだし


Face_mera0

にしては彼女さんを侍らせてるみたいだけれど


Face_akitsu

かの――!?!?


Face_kenichi

侍らせてる云うな。相手に失礼だろうが。なあ徳川――


Face_akitsu

―――――――
―――――――
―――――――


Face_kenichi

おいぃいいいいい熱あるだろコレ絶対! 大丈夫か、保健室行くか!?


Face_mera0

……………………


初見だが真理学園の制服を着た女子は謙一をジト目で評価した。


秋都のクールダウン時間を設けてから、話題を進行させる。


Face_mera0

私は小松こまつ目羅めら。見ての通り、真理学園の人間だ


Face_kenichi

そっちも卒業式だったんじゃないの?


Face_mera

まあね。それに私は君同様卒業生だった。つまり卒業式を終えたばかりだ


Face_kenichi

オイオイ……てことは終わってすぐにコッチ来たのか? お前も卒アルの一番後ろ真っ白組じゃね?


Face_mera

コッチは殆どの学生がエスカレーター式なんだ、B等部の卒業なんて全然卒業って感覚無いよ


Face_kenichi

ああ……なるほど、そういう違いがあるのか


Face_mera

でだ。私が此処に来たのは……まぁ君なら察しが付いてるんだろうけど


Face_kenichi

……特変の、7人目か


Face_mera

君を入れれば8人目。佐伯さえき乃乃のののところに案内しよう。今から


Face_akitsu

……???


Face_kenichi

もはやコッチのスケジュール完全無視だな……


Face_kenichi

卒業企画とかに俺たずさわってたらどうするつもりだったんだよ


Face_mera

私もそこは疑念あったのだけれど、学園長曰く大丈夫ってね


Kenichi

……こういう事態を俺が想定して生活してるってのを予測済みなのか。


Face_akitsu

え、えと、井澤くん、どこかに行くの……?


Face_kenichi

らしい。具体的にはどこ行くんだ小松?


Face_mera

真理学園、今日は……何故かC等学生棟グラウンドに集合するようにって


Face_kenichi

ホント何で……


Kenichi

何かもうその時点で嫌な予感がプンプンするなぁ。


……。


…………。


……………………。


timeskip


Face_kenichi

……で、真理学園に着いたわけだが


Kenichi

電車とバスで優海町真理学園前に着いたわけだが。


Face_kenichi

凄いナチュラルに徳川連れてきちゃったけど、大丈夫なのかな


Face_akitsu

……はれ!? ほ、ホントだ私何やって――!?


Akitsu

つ、つい日常生活ストーキングの習慣に従っちゃった!?!?


Face_mera

まぁ別に良いんじゃない? 独りで来いとか条件の指示受けてないのだし。それを考えたら、私も最後まで附いて行っちゃおうかな


Face_kenichi

お、おう……


Kenichi

複数人で特変面子に会いに行くっていうのは初めてのパタンだな。


Face_mera

この学園大通りは、児育園棟、C学棟、一般棟のいずれも門を通して繋げられている


Face_mera

その意味では、学園の地理的中心だ


Face_kenichi

一般棟以外縁無いと思うけどな。てか今からC学棟行くわけだが大丈夫なのか? ガキんちょども困らない?


Face_mera

何か問題が起きたときは全部学園長に責任転嫁てんかすればいいと思うんだ


Face_kenichi

名案過ぎる


Kenichi

コイツ賢いぞ!


Face_mera

あ、でも校門通ってから暫く道続くから踏ん張ってね


Face_kenichi

具体的には?


Face_mera

10分くらい


Face_kenichi

軽くバスが欲しくなるな……


Kenichi

相変わらず敷地しきちが半端ねえ……


ということで山道を歩くような思いを10分。


Stage: 真理学園 C学棟グラウンド


Face_kenichi

……思ったよりも、小さいな


約束の場所に着いた。


Face_mera

真理学園に寮制度の関係で入ってくるのはAB学生に多い


Face_mera

つまり純粋に真理学園に入ってくる児育園生やC等学生というのは相対的にみて少ないんだ


Face_mera

在校生は全学年合わせても150人も居ないんじゃないかな


Face_akitsu

ほ、本当に少ないんだ……


Face_mera

その分、最初から真理学園に在籍してる学生間の繋がりは可成り深い


Face_mera

生活の場を一般棟に移したらいきなり多様性に触れてショックを受けたり……ちょっとした真理学園あるあるだね


Face_kenichi

時間という縦の繋がり、か


Kenichi

俺にはそういうの一切無かったからな。
……いや。


Face_kenichi

徳川とはちょっと当てまるのか


Face_akitsu

え……? わ、私?


Face_kenichi

俺らのクラスメイト記録なら此処の奴らと張り合えるかもなって


Face_akitsu

……!


Kenichi

まぁ全く意味の無い張り合いだが。


Face_mera

君ら、幼馴染おさななじみか何か?


Face_kenichi

俺は曖昧あいまいなんだが、徳川とはなかなかクラスメイト率が高くてな


Face_kenichi

どうやら9年ぐらい100%だったらしい


Face_mera

それは何というか、鼻血ものだね……!


Face_kenichi

本当に鼻血出てるんだが


Kenichi

ダメだ、よく分からんが多分コイツも朧荼雪南と同じ類いだ。


Face_mera

……っと、早速出向いてきた意義を発見したよ


Face_kenichi

え? ……あ、本当だ


Kenichi

そこは小学校なのだから、小学生が多いのは普通のこと。
だがA等の学生が居たら身長的に目立つのも当然のこと。


Kenichi

つまりグラウンドの中央で目立っている女の子が居るのだ。この場所の規模自体大きくなくてグラウンドも同様、だからすぐ気づけた。


Face_kenichi

……あれが、佐伯乃乃、か


Kenichi

後ろを向いていて表情は全く見えないが……


Kenichi

行ってみるか。


Face_mera

…………


Mera

現在時刻は12時半。
確かここの時間割では……給食兼お昼休みの時間か。
つまり今はお外で遊んでもいい時間で、そういう子どもたちの姿もちらほら。ドッジボールもしてる。


Mera

けど、繁盛しているにも関わらず、何故かグラウンドの中央……
つまり佐伯乃乃の居る場所周辺には、全く誰も寄ってこない。
確かに彼女は有名だが、ここではそういう話を聴いたことが無い。


Mera

というか……子ども達の中には、遠巻きに彼女へ向かう井澤氏をジッと見詰めている子が少なくなくて。


Mera

…………。


Face_mera

私たちは此処ここで待機していようか、徳川くん


Face_akitsu

え? は、はい……?


Kenichi

……あれ? 二人がいてこない。


Kenichi

やっぱり少し距離を置いて、俺と佐伯の対面を大事にしたんだろうか。まあいいけど。


Kenichi

さて、ずっと何もせず突っ立ってる後ろ姿のピンク髪な女子まで、その距離あと20mぐらい。


Face_kenichi

おーいアンタ――


break

その時起きたこと。


Face_akitsu

――えぇえええええ!?!?!?


Face_mera

あーあ……


秋都ら外野の目は、井澤謙一が一瞬にして姿を消した……
というか地に引きずり込まれたように映った。


そして――


Face_gaki

「「「引っかかったーーー!!!
wwwwwwwwwwwww」」」


子どもたちが騒ぎ出した。


Face_akitsu

え、な、何!? 井澤くん!?


Face_mera

さて……気をつけながら犠牲者のところに向かうとするか



Face_kenichi

ぐ……な……


Kenichi

何だ……!?

skyMorning

Kenichi

コレは一体何だ!?


Kenichi

俺は一体――


Face_kenichi

落とし穴……!?


Kenichi

それも、何mもある……コレ一人で登れるレベルじゃないぞ!?


Face_unknown

はーい気をつけてね、この辺までなら大丈夫ですよー


Face_unknown

ほら、あそこに見事引っかかっちゃった間抜けな男の人が居ますよー


Face_gaki

あ、いたーwwwwww


Face_gaki

まぬけーwwwww


Face_gaki

お姉ちゃん、ちゃんとカメラでとったー?


Face_unknown

ええ、勿論。お間抜けを一切取りこぼさないように、12カメ12方位で録画しましたから


Face_unknown

暫くしたら、ビデオで教室に送りますからね。一週間ぐらい待ってください


Face_gaki

春休みなっちゃうから、急いでなー!


Face_kenichi

な……!


そして地上から半径5m程度の穴を覗く、幾十もの好奇の瞳。それらは――


Face_gaki

「「「wwwwwwwwwwwww
wwwwwwwwwwwwww
wwwwwwwwwwwww」」」


――明らかに井澤謙一MANUKEをあざ笑っていた。


Face_kenichi

は……は……


Kenichi

められたあぁあああああああああ――!!!??


Face_kenichi

さ――佐伯乃乃おぉおおおおおおおおお!!!!


Face_nono

はい、私が佐伯乃乃です👍


Face_kenichi

👍じゃねえぇええええええええええ!!!


Face_kenichi

あとガキんちょども俺を見るな! そんな目で俺を見るんじゃねえ!!


Face_nono

いやぁ、数日かけて堀った甲斐がありました。子ども達にもお手伝いいただいた故、失敗するわけにはいきませんでしたから。


Face_nono

とても良いリアクションありがとうございました。ほら、皆さんもお礼を云いましょう、せーの――


Face_gaki

「「「ありがとうございました!!!!」」」


Face_kenichi

うわあぁああ子どもの心がまぶしく俺の心をズタズタにするぅうううう!?!?


Kenichi

てかマジで助けて!?


Face_mera

何でこんな費用対効果とかけ離れた企画を準備したんだい?


Face_nono

学園長が、井澤謙一なる男を「リアクションの豊かな逸材いつざい」と評価されました


Face_nono

私はただそれを聞かされたに過ぎませんので、取りあえず何か仕掛けようと


Face_kenichi

あの人も一枚噛んでんのかよ!!


Kenichi

そりゃ学校のグラウンド数日借りてるんだし学園長の耳には入ってる筈……
それを注意するどころか、許可しやがったな!! 絶対12カメで獲った映像あの人のところに回るじゃん!!


Face_nono

それに加えて……


Face_nono

今回の時間はお互いの紹介というコンセプト。彼の場合はそのリアクションを見せてもらうとして、私も何か示さねばならないでしょう


Face_nono

自己紹介はその名の通り、自己を紹介する……


Face_nono

自己とは何か? それを考えた時、佐伯乃乃が佐伯乃乃であると裏付ける要素……


Face_nono

主観的客観的事実、それは「核弾頭」です


Face_akitsu

か、核弾頭……?


Face_nono

私の二つ名です。何がどうなってそこに行き着いたのかはしりませんが、出発点は私の行動にあります


Face_nono

すなわち……「嫌がらせ」をすることが、私の自己紹介に他ならないと


Face_kenichi

それで落とし穴作んのかよ!! お前の方が逸材だよ畜生!!


Kenichi

学園長好きだろうなこういう奴!!


Kenichi

てか早く助けて!?


Face_nono

では、穴を埋める作業に移りますか。申し訳ありませんが、皆さんもよかったらまた手伝ってください


Face_gaki

「「「あいあーい!」」」


Face_nono

ありがたいです。コレが終わったら後でお菓子を作ります


Face_gaki

お姉ちゃんのお菓子、大好きー!


Face_mera

良い物を見せて貰ったからね、ちょっとぐらいは手伝うよ。何をすればいい?


Face_nono

穴を埋めるのですから、やることは一つです。あそこに移しておいた土を全部戻します


Face_kenichi

いやだから、先に早く俺を助けろよ!!?


Face_nono

何をおっしゃるのですか、助ける為に土を落としていくんですよ。必然的に高さを縮めるのです


Face_kenichi

それ一歩間違えれば生き埋めだよね!?


Face_gaki

よっしゃ、早く終わらせるぜ! とりゃー!!


Face_gaki

ばしゃーー!!


Face_gaki

あばよーー!!


Face_kenichi

おまっ、一気過ぎるだr――ぎゃあぁあああああ!!!??


Face_akitsu

謙一くーーーーん――!!??


……。


…………。


……………………。


timeskip


Face_mera

すんごい砂まみれだね


Face_kenichi

生きてる……俺、生きてるのか……?


Face_akitsu

う、うん……何とか……


Kenichi

徳川にも手伝ってもらいながら全身の砂を落としていく。
……落とし穴はすっかり無くなっていた。といっても固めの作業とかも必要だろうから暫くコーンを置いて立ち寄り禁止だ。


Kenichi

……ていうか……


Face_kenichi

あのクソガキ共と主犯は何処行った……


Face_akitsu

い、井澤くん軽く殺気立ってる……


Kenichi

そりゃ殺されかけたんだからな、これぐらいの感情湧いたって仕方なかろう。


Face_mera

しかし残念! 既に乃乃くんは子どもたちと一緒にお菓子作りだ!


Face_mera

邪魔をしようものなら君の学園生活は無いものと思い給え!!


Face_kenichi

畜生……畜生……


Kenichi

完璧だ。完璧な犯行だ……


Kenichi

佐伯乃乃、恐るべし……てかホントに自己紹介アレだけで済ませやがった……


Kenichi

俺、落とし穴嵌められに来ただけじゃねえか、何この3月9日!!


Face_mera

取りあえず、もう此処に用はないね。戻ろう


Face_kenichi

二度と来ないからな……


Face_akitsu

…………


Akitsu

励ましの言葉も出ないよ……


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