「特変」結成編0-1「初めての入試(1)」

あらすじ

「紛うことなき迷子だ。」スタジオメッセイのメイン作品『Δ』、「「特変」結成編」0章1節その1。物語の始まり――「嫌な予感」を抱きつつも謙一くんは吹雪く優海町を歩き受験へ!! ……しかし何だかんだで迷子になって軽くピンチを迎えているのでした。

↓物語開始↓


Face_midori0

……じゃあ、どうする?


konoeskaiwohakaisuru
Face_midori0

――自分で取り戻しましょうってことね


spotLight
Face_midori0

さて、そんな特変の……ご登場~、壇上に注目~


YaibatoNare
Face_unknown

「「「くたばれえぇええええええええ――!!!!」」」


Face_kenichi0

ぎゃあぁあああああああああああ!?!?


……………………。


…………。


……。



flashback_return


Face_kenichi0

――はっ!?


Kenichi

…………。


Kenichi

…………。


Kenichi

…………。


Face_kenichi0

……迷子だ


Kenichi

 紛う事なき迷子だ。


Kenichi

 何というか、嫌な予感はかねがね一寸していたというか、毎年お世話になってる鎮頭神社の御神籤おみくじ様にも予言されていたというか……


Kenichi

 平保29年もしっかり思考が横道に逸れる愛すべきジャンク性能、健在のようである。


Face_kenichi0

つっても……


天感

Kenichi

 今のは……何と云うべきか。
 俺からレール外れたって感じは、しなかったな。


Kenichi

 何か、そこはかとなく嫌な予感が全身に奔った……いや。
 奔ったというか、呑み込んだのだ。


Kenichi

…………。


Kenichi

 こういうのは9割方、気のせい。


Kenichi

 俺の場合少し事情も違うんだろうが、それ含めても今大事なことはそこじゃない。


Kenichi

 兎も角、今、俺は道に迷ってる。それが問題。


Stage: 雪の優海町



Kenichi

 一つ状況を付け加えると、俺にはタイムリミットが定められてる。


Kenichi

 具体的にはあと30分。


Kenichi

 30分で、行ったこともない学園に到着せねばならないのだ。


Face_kenichi0

ったく、どうしていっつもいっつも、運命はこうも俺にイタズラかましてくるかな――


ツルッ。



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…………


Kenichi

 罪をなすり付けられた運命様が本気出してきた。


Kenichi

 低摩擦が自慢の雪道に足が捕まり、背中から一気に白景色へダイブ。
 入試当日、見事に私め、井澤謙一は滑り転けてしまったわけだ。


Kenichi

……………………。


Face_kenichi

おいおいおいおいおいおいおい……


Kenichi

 普段の童心旺盛おうせいたる俺ならば、歩道だろうが車道だろうがヒャハヒャハ転げ回って真白の感触を楽しむのだろうが……


Kenichi

 今日に限っては、正直そんな心を表に出せる余裕なんて1㌥リットルも無い。


Kenichi

 一世一代かもしれない、大博打ばくち。ただでさえ可成りの確率で一生涯一回きりのA等部進学、慎重で賢明な選択はもっと他に色々あったろう。


Kenichi

 しかしそれらを捨てて……全然調べてない場所に一カ所絞り……


Kenichi

 つまり、今死に物狂いで辿り着きたい学園で、アレを勝ち取れなければ博打大敗、そもそも辿り着けなければ進学できない。
 ……親父にこのプロセス知られたらヤベえな……


Face_kenichi

兎も角――!



 謙一は起き上がる。


 背中にはざっと見積もって2リットルぐらいの白い雪がくっついていた。
 水分の混じりけ少ない、まさに積もるが為にふわりふわりと舞い降り来る新雪は、大輪大陸が「冬」真っ盛りであることを静かに知らしめていた。
 雪など降らずとも、靴の中でもはや凍っている足指、どう足掻いても白く濁る吐息。
 それらはコタツやストーブを離れやるべき事を果たす為に外に出る人々にイヤってほど「冬だぜぇ!!」と知らしめていた。


 ということで朝っぱら8時からストレスまで積もりまくってる謙一は、一旦思考を切る判断に出た。


Kenichi

 ……今、やるべきことだ。


Kenichi

 地理的に色々分からなくなってしまった今の俺は、どのような行動を取ることで危機から脱することができるか。


Kenichi

 まず、周りを見渡す。


Face_kenichi

…………


Kenichi

 がある。


Kenichi

 優海町はその名の通り海があったり、それよりも森が存在感放ってる街だと聞いていた。その先行観があったからか、今居るところはそれよりも人工的な景観を持っていてビックリだ。でもがっつり田舎町ではないらしいから、当然なのかもしれない。


Kenichi

 兎も角、其処に便利な施設がある。


Face_kenichi

人に聞くのが手っ取り早い!


Kenichi

 流石コンビニ、便利だぜ……!


Kenichi

 それに丁度ポケティを切らしていた。ちょっと仕入れておこうか――


Face_kenichi

いや、待てよ……いっそ箱を買うという手も……


Kenichi

 ポケットティッシュはその手軽さ故に一つ10枚くらいしか詰められてない。
 よって消費が激しい……? いや、枚数消費は消費者の生活に依存するから、箱にしようとエコさは変わらない……?


Kenichi

 でもよく消費する人間の俺的には箱にすることで、いちいち新しいのを出さなきゃいけない手間を省くことが……


Kenichi

 ああでも、1セット消費しきっちゃったからここで止めとこう、的なキリの良さが無くなるのか……
 それだとどこまでもついつい使いまくっちゃうかもしれない、それもまた俺……。


Kenichi

 料理とか出されたら全部食い尽くすタイプだし……
 いや、しかしソレは亜弥の料理が美味しいからであって、……――


 また思考が横道に滑り落ちながらも、食べ物が死なない程度の炬燵コタツみたいなぬっくぬくコンビニエンスストアの自動ドアを潜った。



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