「特変」結成編2-3「合唱(1)」

あらすじ

「直感補正だが、コレは確実に成功している……!」スタジオメッセイのメイン作品『Δ』、「「特変」結成編」2章3節その1。遂に始まった合唱祭、そして特Bの特変破り! 堅実に作り上げてきた精彩な特B合唱の裏で、特変もいよいよ準備に入ります。

↓物語開始↓


PM0 30


Face_kenichi

【謙一】

ふむぅ、やっぱりビデオと本番じゃ迫力が違うなぁ


Kenichi

ライブはやっぱ生でしょ! みたいなことを母校のクラスメイツ達が語ってた記憶あるが、合唱祭でもなかなか通用する理だな。


Face_kenichi

【謙一】

いつか白宮さんのライブ行きたいなぁ……


Face_mikan

【美甘】

結局そこに行き着くのかよ


 ただいま、お昼休憩時間であった。
 午前の部ではB等部が練習の成果を見せつけた。
 午後の部は一時間後の13時半からで、第一学年からの学年順となるA等部ターンである。


 公平なシャッフル抽選の結果、クラス順は特Bがラス2で特変がラストだった。公平なシャッフル抽選の結果なのである。


Face_kenichi

【謙一】

お前ら体調とか大丈夫かー? 一時間以上前から訊いても意味ない気がするけど


Face_so

【奏】

まだ早い気もするし、遅すぎる気もするよね。私は大丈夫でーす!


Face_shiho

【志穂】

私は朝に喰ったサーモンで食あたりだ。今からゲロってくる


Face_kenichi

【謙一】

訊いておいて良かったわホントに。美甘、応急措置をアルスで調べておいてくれ


Face_mikan

【美甘】

軽くピンチだよな……


Face_joe

【情】

……んぁ、終わったか?


Face_kenichi

【謙一】

おはようクソ野郎。エネルギーは溜まったか?


Face_joe

【情】

……思いの外良好か。何かやったか


Face_kenichi

【謙一】

別にー


Kenichi

 合唱祭なのに平常通りいびきパなかったので、沙綾が偶然見た医学バラエティ番組の情報を信じて、寝てるところを無理矢理地面に落として抱き枕を抱かせた。
 割といびきの頻度が少なくなったから俺的には成功だ。


Face_kenichi

【謙一】

兎も角休憩時間。最後のリラックスできるまとまった時間ってわけだ。有益に過ごせよ


Face_so

【奏】

じゃあケンパイ、カラオケ附き合ってくださいよー


Face_kenichi

【謙一】

合唱祭のお昼休憩にカラオケ行く奴とかもしかして史上初なんじゃないか? 因みにその理由は?


Face_so

【奏】

ぶっちゃけ覚え切れてません


Face_kenichi

【謙一】

よし行くか


Kenichi

 リラックスする以前の問題だった。


Face_kenichi

【謙一】

念のため訊くけど、他の奴は大丈夫?


Face_fui

【譜已】

し、正直私も、ちょっと……


Face_kenichi

【謙一】

これで3人か。この時間なら30分……幾らだ?


Face_saya

【沙綾】

最寄りのここだと3人で500円いかないわよー(←アルスで検索したものを見せながら)


Face_kenichi

【謙一】

なるほど、それじゃ今から俺たちはカラオケ行ってくるけど、悪さすんなよー


Face_mami

【廿栗木】

……は?


 偶然特変席の近くを歩いてた磨美は今このタイミングでまず聴くはずのない「カラオケ」という文字列を確かに聴いて二度見した。


Face_kenichi

【謙一】

お、よう廿栗木。久し振りだな、普通に友達作ってるようで何よりだ


Kenichi

 ホント羨ましい。


Face_gangoro

【黒田】

…………


Face_yudai

【四谷】

…………


Face_mami

【廿栗木】

あー……まぁ……いや、それよりもお前ら今からカラオケとか云ってなかったかお前?


Face_kenichi

【謙一】

大丈夫、30分だけだから


Face_mami

【廿栗木】

真理学園受験した時点で疑問には思ってたけど、お前もしかしてとんでもないバカなんじゃ……


Face_so

【奏】

パイセン時間なーい!


Face_fui

【譜已】

あと、休憩50分です……


Face_kenichi

【謙一】

バカにならないとやってけねーよ。んじゃ、お前のクラスも頑張れよー何処か知らないけど


 3人は走って行った。


 ……その様子を磨美は眺めていた。というか呆然としていた。


Face_gangoro

【黒田】

……お前、あの特変のリーダーと知り合いだったのか! 云えよガングロ!!


Face_yudai

【四谷】

しっかし合唱祭本番中にカラオケとは、思いついても流石に実行はしねえよなぁ。マジ呆然だわー


Face_mami

【廿栗木】

……何……考えてんだ……特変――?



timeskip



PM2 30


Face_caro

【キャロ】

1年D組の皆さん、ありがとうございました。それでは――


Face_caro

【キャロ】

特進選抜Aクラスの皆さん、準備をお願いします


 午後の部が始まり、5つのクラスが発表を終えた。
 湧き上がる拍手の中……静かに、


Face_kenichi

【謙一】

…………


 特変が席を立ち、裏へと歩き出す。


 コレは進行をスムーズにするためのテンポのようなものであり、とあるクラスが壇上で披露している間に次のクラスが裏で控えて準備するのである。


 すなわち、特変が裏で準備するようアナウンスが入ったこの回に発表するのは。


Face_caro

【キャロ】

続きまして、特進選抜Bクラスです。曲目は、――


 最もこの合唱祭を準備してきた彼女らである。




Face_akitsu

【秋都】

凄い緊張感だぁ……


Face_yuzuyu

【柚子癒】

とか云いながら割と平常心保ってるわね徳川さん! 私結構今お腹痛い……!!


Face_mirei

【美玲】

私の心臓が止まった時は、許してね……


Face_yukina

【雪南】

心臓マッサージは心得てる。安心していいよ美玲さん


Face_yuzuyu

【柚子癒】

いや私がやるから、朧荼くんには絶対やらせないから


Face_mera

【目羅】

……この様子だと、大丈夫そうだ


 特Bが壇上に登場した途端、観客がざわめく。


Face_noname

【noname】

【町民】「おいおい、あれだけかぁ……? 少ねえじゃんか!」


Face_noname

【noname】

【町民】「さっきキャロちゃん、特進っつってたよなぁ……少数精鋭って感じのクラスなんじゃねえか?」


Face_noname

【noname】

【町民】「へぇ~あの真理学園がねぇ……縁遠いイメージがあるけど、特進なんて」


Face_noname

【noname】

【町民】「翠ちゃんの考えることなんて、俺たちにぁ想像もつかないわなぁ」


 ステージ裏に回っている謙一らにも、この小さい騒ぎは聞こえてきた。




Face_kenichi

【謙一】

良いスタートを切られたか……


Face_so

【奏】

え? いや、まだ歌ってないよ?


Face_kenichi

【謙一】

練習の成果より前に獲得できる評価要素もあるってことだ


Kenichi

 合唱の完成度とは関係無いところ。つまりは見た目だ。


Kenichi

 まだ特変制度が公にされてから2ヶ月も経っていない。そして学園はそこまで学外に向けて積極的な情報配信を行っていない。
 だから今観客として集まってる優海町民の皆さんの殆どは、制度に伴い新設された俺たち特進クラスについての情報を持たない。いきなりお披露目ってわけだ。
 ……小松は、ソレをも利用した。


Kenichi

 真理学園のクラス編成は基本的に35人以上。例年その密度を見て慣れている町民が、見たことのない少数クラスを視界に入れた。
 ……これだけで、他クラスには真似できないインパクトを植え付けられただろう。


Face_saya

【沙綾】

他クラスの内容の記憶を薄めさせるってことねー


Face_saya

【沙綾】

先手、打たれちゃったんじゃない?


Face_kenichi

【謙一】

莫迦云えよ


Kenichi

 俺らのは……
 もっと、他じゃ真似できねえよ。


 そうこう喋ってるうちに、特Bの合唱が始まった。
 ステージ裏に居る謙一らは、設置されたカメラからしかその光景を見ることができない。
 それでも、マイク音響を通してホール中に旋律が響く。


Face_kenichi

【謙一】

…………


Kenichi

 俺たちの立っているところは比較的スピーカーの音声が響きにくい場所のようだ。
 だからか、すぐそこのステージの、特Bの生声の方がよく聞こえてくる。


Face_so

【奏】

うわっ、徳川パイセン、やっべえ……! 何か怖え!


Face_kenichi

【謙一】

まだマシな方だ……敢えて本気を出さないようにしてるんだろう


Kenichi

 1パート1人の繊細な合唱には、少しのバランスの乱れも許されない。徳川お得意(?)のドスバスな女子声はまさに諸刃の剣。


Kenichi

 そもそも、声量に最初から見切りを付けていた特Bは、マイクを通した自分たちの発表、というのも意識していた筈だ。その練習を積んだからこそ、生声を聞くしかない俺たちは特Bの本気を聴けずにいる。


Kenichi

 直感補正だが、コレは確実に成功している……!


Face_fui

【譜已】

あわわわわ……


Face_kenichi

【謙一】

おお、譜已ちゃんが露骨に緊張を疾走させている


Kenichi

 かわいいなぁ。
 でも今ばかりはそう和んでもいられないな。


Face_kenichi

【謙一】

大丈夫か? ごめんな、こん中じゃ譜已ちゃんに一番背負わせてるから(←なでなで)


Face_fui

【譜已】

あ……(←頭なでられる)


Kenichi

 何とか譜已ちゃんに緊張を解してもらいたい一心で、亜弥にやると効果的なリラックス法を試してみる。


Face_kenichi

【謙一】

譜已ちゃんの髪、サラサラだよなぁ。伸ばしてみるのもいいかもしれない


Face_fui

【譜已】

ぅぁ……あ、えと、その……お母さんにも、よく云われます……でも……


Face_fui

【譜已】

妹が……引っ張ってくるので……


Face_kenichi

【謙一】

譜已ちゃん、相談所とかに連絡する気はないか?


Kenichi

 ホントに心配だ銘乃家。


 会話の最中も引き続き譜已の可愛い頭をゆっくり、髪を乱さぬよう優しく撫で続ける謙一の手。


Face_fui

【譜已】

あ、あぅぅぅ……


Fui

 謙一先輩の、手が、私の頭を……!


Fui

 大きくて……あったかいな……


Face_fui

【譜已】

ふぁあ~~~……♨


Face_so

【奏】

ってコラアァアアアアこの変態ハゲパイ野郎ーーー!!(←鳩尾みぞおちにラグビータックル)


Face_kenichi

【謙一】

ぐぉおおおおお……!!?!?


Face_nagi

【凪】

…………(←倒れたところに足蹴り連発)


Face_fui

【譜已】

え、えぇえええ……!?!?


Face_saya

【沙綾】

あら怖い(←距離をとる)


Face_nono

【乃乃】

ぱしゃぱしゃ


Face_joe

【情】

埃立てんな


Face_shiho

【志穂】

うぇぇぇぇぇぇぇぇ~~~(←床に倒れ込む)


Face_mikan

【美甘】

お待たせ、取りあえず有りっ丈吐かせ――どうした謙一!?


Face_caro

【キャロ】

特進選抜Bクラスの皆さん、ありがとうございました


Face_caro

【キャロ】

続いては1年の部最後、特進選抜Aクラス――特変の皆さんでーす


Face_kaoru

【薫】

はーい本番よならず者ども~――って何じゃこりゃあぁあああ!!!


 遂に本番の本番を迎えたので、渋々譜已の親友たちは謙一を解放した。
 何とか謙一は起き上がったが、志穂はぐったりと床に転がったままだった。


Face_kenichi

【謙一】

おい志穂……起きろ、起きてくれ……


Face_shiho

【志穂】

吐きそぉぉう……


Face_shiho

【志穂】

吐くもん全部吐いたけど、それでも吐きそうぅぅぃぃぃ……💀


Face_kenichi

【謙一】

俺も吐きそうだから、大丈夫だ……


Face_kaoru

【薫】

何が大丈夫? どこらへんが大丈夫なの!? ちょっとマジでステージ出てほしいんだけど!!


Face_kenichi

【謙一】

すいませんが少し俺らはここで準備させてください……鳩尾が凹んでるんで……


Face_fui

【譜已】

け、謙一先輩……


Face_kenichi

【謙一】

譜已ちゃんたちは、先にヴエ゙――準備、しておいてくれるか……?


Face_fui

【譜已】

は、はい、分かりました……


Face_saya

【沙綾】

情くーんお願いねー


Face_joe

【情】

テメエも働けや


Face_nono

【乃乃】

凪さん、そっち側持ってください。持ってくれないと凪さんの机の中にカメムシを放ちます


Face_nagi

【凪】

やったら貴方の口で画鋲がびょうフォアグラしてあげる


Face_kaoru

【薫】

……は?


 そうして特変は、かなり自然な様子で近くに置いておいた機材をそれぞれステージへ運んでいく。
 何も聞かされていない誘導係な教師は取りあえず唖然とした。


Face_kaoru

【薫】

……何――


Kaoru

何やらかす気だあぁあああああああああ!!!??


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