「特変」結成編2-12「物の価値(1)」

あらすじ

「献上制度は間違いなく俺たちの脅威……だけど銘乃学園長に逆らえるわけがない……だから、他を手放すことになっても、コレだけは守っていこうって……」スタジオメッセイのメイン作品『Δ』、「「特変」結成編」2章12節その1。悪者特変の知らないところでまた一つ、小さな事件が起きました。

↓物語開始↓

otherside

290625


Nodoka

 また土曜日を迎えた。


Nodoka

 それは新学期から2ヶ月経って、少しだけ恒例と思えてきた時間だった。


Face_noname

【noname】

【GS】「それでは献上する者、献上する物を提示してもらおう」


Nodoka

 献上制度。


Nodoka

 今年度から、真理学園に導入された「特変」、それに関係する……可成り意味不明な制度。


Nodoka

 週末になると、クラスで一つ、誰かしらの「大切なもの」を特変に献上する。
 一応何を献上するのかはクラスで決めていいとのことだけど、それが本当に誰かにとって価値あるものであるのかどうか、その調査は細かくなされてるらしい。下調べも付いてる、という噂もある。だから基本的に足掻いても最終的には大切なものがクラスから捻出されることになる。


Nodoka

 つまり献上することについては、銘乃政権では諦めなければいけない……そりゃそうだ、銘乃学園長さんのことは私も知っているし、だからこそ分かる
……足掻きは無駄だって。


Nodoka

 だけど、そう分かっていたとしても、そう易々と手放せるものでもない。当たり前だよ、大切なものなんだから。


Face_nodoka

【温】

…………


Nodoka

 私も、絶対に、コレは渡したくは――


Face_noname

【女子】

「「「…………」」」


Face_nodoka

【温】

……え?


 クラスの女子たちは、無言で彼女を机ごと囲んでいた。


Face_nodoka

【温】

ど、どうしたの――


Nodoka

 制度が実施されてからも、お互い頑張っていこうねと取りあえず励まし合ってきたクラスメイトの友達たちが、
 見たことのない顔を、私に向けて――


 そして――


Face_nodoka

【温】

ッ――!? い、いやッ、待って――!?


……。


…………。


……………………。


timeskip


Face_subaru

【昴】

え、えぇええ!? 指輪が、献上された――!?


Face_subaru

【昴】

なに……何、やってるんだよ、温!? アレが一体、どれだけ大切なものなのかは分かってるだろ……!?


藤間妹憔悴


Face_nodoka

【温】

……ごめん……ごめんなさい、昴……分かってた、絶対手放したくないって思ってた……


Face_subaru

【昴】

献上制度は間違いなく俺たちの脅威……だけど銘乃学園長に逆らえるわけがない……だから、他を手放すことになっても、コレだけは守っていこうって……


Face_subaru

【昴】

……何が、あったんだ……?


Face_nodoka

【温】

……それが――


……。


…………。


……………………。


timeskip


Face_subaru

【昴】

……………………


Face_noname

【男子】

……よお、藤間。何か元気なくね?


Face_subaru

【昴】

ん……ああ、ちょっと色々あってね


Face_noname

【男子】

困りごとってか? 話してみろって、友達だろ。独りで考えてても煮詰まりしてテンション下がるだけだって


Subaru

 ……松井は、俺たちの事情を、知ってるんだよな。
 だったら、話してみて、損はないと思う。
 実際煮詰まってるような状態。藁にも縋りたい気分なのだ。


Face_subaru

【昴】

ありがと。実は、さ……


……………………。


Face_noname

【男子】

なるほど、妹さんの指輪が……それをどうやって取り返そうか悩んでたってことか


Face_subaru

【昴】

うん……だけど、献上物を管理してるらしいグリーンシャドウ隊は今まで、学生に献上物の保管場所なんかを噂一つ作らないほど隠しきってる


Face_subaru

【昴】

それに、銘乃学園長直下の特別組織だ……特変よりも、実力や危険度を持ってるんじゃないかって


Face_noname

【男子】

まぁ、直接相手にするのはヤバい連中なのは間違いねえよな……特に隊長やってるあの山田クロウスって教師は元百戦錬磨の傭兵、みたいな噂もあるし


Face_noname

【男子】

だけど、少なくとも一つ、銘乃学園長もグリーンシャドウ隊も文句を云わない筈の方法が、あるだろ?


Face_subaru

【昴】

……特変破り


Face_noname

【男子】

ああ! 何とかソレで勝つことができれば、特変制度をぶっ壊せる! 銘乃政権を終わらせられる! そうなれば、献上制度で攫われた物全部皆のもとに帰ってくるのも時間の問題だ


Face_noname

【男子】

当然、藤間妹の指輪だって


Face_subaru

【昴】

だ、だけど、俺が特変に勝てるか……? ただの一般学生だし、しかもB等部だし……


Face_noname

【男子】

まあ、奇襲だったら返り討ちしかないだろうな……けど、俺たちは逆に正々堂々やる方が勝率あるってことはもう既に何度かの公式戦で明らかになってるだろ?


Face_noname

【男子】

今までは特変面子の誰かがその勝負に偶然特化してたから負けただけ……いつか、誰も得意じゃない分野の勝負が成立して、それが特変を打ち破る……そういうビジョンは、案外持てると思うぜ


Face_subaru

【昴】

……だけど俺に、何か卓越したものなんて


Face_noname

【男子】

……藤間ってさ、確かここ来る前は苦労してたろ? それで、腕っぷし・・・・も結構、鍛えられてるんだよな?


Face_subaru

【昴】

ん……まあ、平均より、ちょっとは。けど間違いなく、その分野はアッチの土俵だろ? だから奇襲は悉く失敗してるんだし


Face_noname

【男子】

……いや、灯台もと暗しっていうかさ……「穴」があるとは、思わないか?


Face_subaru

【昴】

え――?


Face_noname

【男子】

いいか、藤間――今から、俺の云うとおりに、するんだ


Face_noname

【男子】

妹さんの、そしてお前にとっても、一番大事な物を取り戻す為に――


otherside

290627


Face_kenichi

【謙一】

……おいおい


Face_subaru

【昴】

――藤間昴、です。よろしくお願いします


Kenichi

 随分と教室に入ってきて早々真剣な眼差しで睨め付けてきた男子に対して、色々、文句は思いついた。


AM10 30


Face_subaru

【昴】

特変破りは本日の昼休み。GACの101会場です。待ってます。来なくてもいいですけど……その場合は不戦勝とさせていただきます


Kenichi

 こっちはまだ一言も挨拶もしてないのに、一気に話を進めんなよとか。


Kenichi

 今日かよ、しかも昼かよ、今2限終わりだぞミーティング時間少ないじゃねえかとか。
 せめて朝に報告してこいよとか。あとこれは学園長に向けてだが、本当勝手に承諾すんなやとか。


Face_subaru

【昴】

……何にしても、必ず……


Face_subaru

【昴】

絶対に、返してもらう……!


Kenichi

 云うだけ云ってすぐ帰るなや、とか……。


Face_kenichi

【謙一】

…………


Kenichi

 しかし一番、文句を云いたい……云いたすぎて喉が詰まって結局何も云えなかったぐらいに意識を持ってかれたこと。それは――


申請完了用紙(昴)


Face_kenichi

【謙一】

対戦相手は……俺一人指定


Face_kenichi

【謙一】

対戦内容は――護真術戦闘フリクション……


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