「特変」結成編2-1「ダメイド(4)」

あらすじ

「私たちは、お隣さんだからだ」スタジオメッセイのメイン作品『Δ』、「「特変」結成編」2章1節その5。その日の特変教室を放課後まで風靡したダメイドな光雨ちゃんですが、これから本題へと入っていくのです。

↓物語開始↓

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PM3 15


Face_caro

【キャロ】

うあーん……授業終わっちゃったよー……


Face_caro

【キャロ】

帰りたくないー……もっと光雨と一緒居たいー……


Face_ku

【光雨】

いっぱいお菓子貰ったのー♪ ご機嫌なのー♪♪


Face_kenichi

【謙一】

…………


Kenichi

 本日ラストの6限目は実に平和にカオスしていた。
 その渦中に居たのは本日一番のお騒がせ者のメイドである。


Kenichi

 志穂が云っていたように、光雨はあまり外野に見せびらかしていいものじゃない。
 ただ志穂が後々付け加えた内容では、そこまで厳格に意識しないでいい、とは云っていたけども。どんなに心掛けてもバレるものはバレるし、人の口に戸は立てられない。それでも平和な優海町において俺というごく一般の学生が所持してるっていう状況が悪化を防いでくれるとか……正直その辺の戦術はよく分からない。


Kenichi

 まぁそういうことなのでテキトウに光雨を放置していたところ、早速6限目の聖書担任なキャロさんに見つかった。シンパシーって云うのかな、一瞬で意気投合していた。
 結果今日の最後の授業はただただ大人(?)の女性と小人の女の子がひたすらお菓子を貪りながらトークしてるのを眺めてるっていう大変有意義な時間になった(白目)。


Face_kenichi

【謙一】

ってか何でアルスがスナック食ってんだ……


Face_shiho

【志穂】

てんで分からん。ただこっちの出した結論として、完全自立した光雨の主食は菓子ってことだ


Face_kenichi

【謙一】

未知の科学にいちいちツッコんでたらキリ無いな……


Face_so

【奏】

ていうか結局光雨って何なの?


Face_so

【奏】

アルスだったりアンドロイドだったり光だったりメイドだったり……もうよく分かんないよ


Face_kenichi

【謙一】

全然理解できてなかったんだなお前。まぁ志穂を前にしちゃ俺も同じ類いかもしれんが……


Face_kenichi

【謙一】

けど確かにややこしいな。何ていうか、属性が多い上に全部濃い


Face_shiho

【志穂】

一言でまとめるならダメイドでいーだろ


Face_kenichi

【謙一】

何だソレ


Face_shiho

【志穂】

オラ先生さっさと帰れー。光雨、仕事だー


Face_caro

【キャロ】

あーんまたね~……


 ポケットのお菓子を出し尽くしたキャロは惜しむように帰っていった。


Face_shiho

【志穂】

メイドの基本は、掃除だ


 志穂は使い込まれた雑巾を光雨に投げた。


Face_ku

【光雨】

わぷっ


 光雨は雑巾の下敷きになった。
 が、すぐに這い出てきて、今度は雑巾の上に立った。


Face_ku

【光雨】

そうなの、光雨はメイドなのー!


Face_ku

【光雨】

あるじの粗相も、ぜーんぶメイドが片付けてあげるのー! ふふーん!


Face_kenichi

【謙一】

主のっていうかその辺全部お前と先生の食いカスだけどな


 お掃除タイム、スタート。


~ 5分後 ~


オブツ


 光雨のメイド的実力はよくよく浸透した。


Face_kenichi

【謙一】

……………………


Face_ku

【光雨】

ふぃ~~……頑張ったの~~……


Face_so

【奏】

あー……うん、頑張ったねー……


 一部始終を見ていたクラスメイトは全員遠い目をしていた。


 取りあえず教室の惨状を一言でまとめるなら、汚水と食べカスが教室全体にコピペされた感じだった。


Face_saya

【沙綾】

下の者の粗相は、上がしっかり責任持ちなさいねリーダー


Face_kenichi

【謙一】

マジかよ……マジかよ……


Face_ku

【光雨】

お腹空いたの~フイ~……


Face_fui

【譜已】

あ……待ってて、ロッカーに多分、飴があるから


Face_nagi

【凪】

甘やかさない方がいいと思うのだけれど


Face_shiho

【志穂】

ってな具合だ。一体何度ただでさえ汚え私の部屋をグレードアップさせられたか……


Face_shiho

【志穂】

コイツは高機能なことは間違いないが、仕事は何だかんだで大失敗かまして成功と認識するアホだ


Face_shiho

【志穂】

AI的な要素も持ってる筈なのに、物覚えが悪い。メモった事もすぐ忘れる


Face_shiho

【志穂】

ダメなメイド。ダメなアンドロイド。すなわち――


Face_shiho

【志穂】

コイツはダメイドだ


Face_kenichi

【謙一】

今更そんなの明かされたら、もう俺騙されたとしか思えないんだけど……


Kenichi

 盛大に厄介払いに巻き込まれたんだなぁ俺……


Face_ku

【光雨】

疲れたの~きゅーけいするの~マスタ~


ku_hage


 ぴょんっと跳んでふわふわっと飛んだかと思うとマスターたる謙一の頭に着地。
 そのまま座り込んで駄菓子を貪り始めたメイド。
 雲脂ふけのように食べカスがポロポロと頭に降りかかる。


Face_fui

【譜已】

かわいい~……


Face_so

【奏】

何かイイよねこの構図! 写メ撮ろ写メ! この最新鋭のアルスで!


Face_nagi

【凪】

……(←パシャッ)


Face_nono

【乃乃】

……(←パシャッ)


Face_mikan

【美甘】

……(←パシャッ)


Face_saya

【沙綾】

……(←パシャッ)


Face_joe

【情】

……(←パシャッ)


Face_kenichi

【謙一】

じゃねえだろおぉおおおおおおお!!!!


 地団駄を踏むが、頭の上のメイドは寛ぐのを止めなかった。
 ということで孤独を感じながら悲しく居残って教室を掃除し直す謙一であった。



timeskip



PM3 30


Face_kenichi

【謙一】

はぁ……終わった……


Kenichi

 取りあえずこんなもんでいいだろ……
 美化委員というのが存在するから、それじゃない学生は皆掃除しなくていいのが真理学園なわけだが……
 俺らは最高に嫌われてるので、この教室に掃除しに来させたらどんなイタズラを仕組まれるか分からない。ということで結局この教室は、毎日じゃないにしても特変でお掃除するってことに決めた。直接学園長にお願いしたから、多分美化委員も周知の決定事項になっている。


Face_kenichi

【謙一】

附き合わせてごめんな譜已ちゃん


Face_fui

【譜已】

だ、大丈夫です、私も暇だった、ので……


Kenichi

 あの流れだと俺一人で責任を遂行しなきゃいけない感じだったが、相変わらずのエンジェルっぷりで生きている譜已ちゃんがお手伝いに出てくれた。正直頭上のダメイドよりも譜已ちゃんにメイドしてもらいたい。
 因みに特変の中で不定期にお掃除やる人は決まってきている。まず、俺と譜已ちゃんはほぼレギュラー。譜已ちゃんがやるならって理由で奏や凪あたりが参戦することもある(凪については、「私物を弄られるのは困る」という理由)。その次の頻度で美甘と乃乃(乃乃については、何だか別の意図♂を持ってる気がしなくもない)。そして絶対にやらないのが情と沙綾と志穂。


Kenichi

 入学したての俺ならば「平等にやろうぜ!」とか説得を試みたもんだが、今となってはもう諦めてる。というか達観か。コレでいいんだろうなー、という何となくの悟りである。


Face_ku

【光雨】

ぱくぱくぱく……


Face_fui

【譜已】

かわいー……


Kenichi

 見た感じ譜已ちゃん、光雨に嵌まっているようである。
 そういや今は亡き妖精れぼの時も興味津々だったな。きっとこういうフェアリーな存在が大好きなんだろう。


Kenichi

 ……ってか、コレを今夜亜弥に見せることになるんだろうな。我が家はサイエンスに疎い状態なのに、それを飛び越えたフェアリーなんかをいきなりぶつけて大丈夫かな。


Face_fui

【譜已】

……あ、あの。先輩、じゃなくて――


Face_kenichi

【謙一】

ん?


Kenichi

 さっきまでご機嫌だった譜已ちゃんは、気付けば俺の方を向いて、何か肩に力を入れているようだった。
 ……よく見たら顔も赤い。どうしたんだろう。


Face_fui

【譜已】

謙一、先輩……じゃなくて――


Face_fui

【譜已】

えと、えっとその……け、けん、謙一――


Face_fui

【譜已】

謙一、くん――


Face_kenichi

【謙一】

……………………


Face_fui

【譜已】

あぅ――(←赤面)


Kenichi

 可愛い。


Kenichi

 可愛いぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!


 なんて内心は表に出さずに譜已のいきなりのチャレンジの理由を問いただす謙一。


Face_kenichi

【謙一】

どうしたんだ譜已ちゃん?


Face_fui

【譜已】

だ、だって、先輩、名前で呼んでって……それが先輩のルールだから……


Face_fui

【譜已】

だから、その……そう呼ばないとって……敬語をやめるのは無理だと思うけど、それくらいならって……


Face_fui

【譜已】

……でも、やっぱり……ダメですぅ……(←両頬を両手で包み隠す)


Face_kenichi

【謙一】

可愛すぎる。


 内心が飽和量を超えたようだった。


Face_fui

【譜已】

え……?


Face_fui

【譜已】

え、えぇええええええ……!!?!?(←混乱)


Face_kenichi

【謙一】

やばっ、つい漏れ出ちまった……


Kenichi

 ただでさえ譜已ちゃんと会話してると奏や凪あたりにナンパ行為と疑われてラリアット喰らってる日常なんだぞ……!
 なのにこんな感想漏らしちゃったらガチでナンパになっちゃうじゃん!


Face_fui

【譜已】

あうっ、あうぅ……(←沸騰中)


Face_kenichi

【謙一】

お、落ち着こう、落ち着こう譜已ちゃん、な……? 俺別にナンパしてないからな?


Face_fui

【譜已】

ナン――!?


 悪化した。


Face_ku

【光雨】

うっっわあー……


Face_kenichi

【謙一】

アンドロイドに軽蔑される日が来るとは思ってなかった


Face_kenichi

【謙一】

ていうかお前、俺のメイドだろうが! ちゃんと俺助けろよ!


Face_ku

【光雨】

人の恋路に口を出す趣味はないの~


Face_kenichi

【謙一】

お前ホントイイ性格してると思う


Face_mera

【目羅】

うっっわあー……


 そんなカオスな状況を、後方扉からドン引きして見ていた女子にようやく謙一は気付いた。


Face_kenichi

【謙一】

ん、お前は……


Face_mera

【目羅】

君は複数人侍らせる趣味だったのか。正直意外だよ。うん意外


Face_mera

【目羅】

いや、私は別に井澤氏がどういう性的文化を肯定してようとも構わないんだ。理解を示そう。努力する


Face_mera

【目羅】

しかし徳川くんの気持ちも考えてあげてほしいと、お節介ながら申し上げよう旦那


Face_kenichi

【謙一】

誰が旦那だ


Face_kenichi

【謙一】

ていうか徳川……? 何の話だ?


Face_kenichi

【謙一】

?????


Face_mera

【目羅】

……何やらこの会話、続ければしばらく難航する未来が見える


Face_kenichi

【謙一】

……俺もだ


 うちわで仰いで譜已をクールダウンさせること数分。
 ナチュラル且つ強引に話を目羅に移す謙一だった。


Face_kenichi

【謙一】

で、何しに来たんだ小松


Face_mera

【目羅】

私のことは覚えていたんだね


Face_kenichi

【謙一】

あの3月9日をどうやって忘れろと


Kenichi

 あの落とし穴の恐怖は今でも夢で蘇る強烈さを俺に刻んだのだ。


Kenichi

 徳川を巻き込まないよう気を回したのは助かったが、乃乃のお陰で小松の印象もハッキリ云って微妙だ。


Face_mera

【目羅】

やあや、銘乃譜已くんとは初対面と云うべきだね


Face_fui

【譜已】

え……? あ、あの、私女子ですけど……


Face_mera

【目羅】

ははは、分かってる。私なりのルールで呼び方は統一してるんだ。違和感があったら、まぁ許してくれ


Face_mera

【目羅】

小松目羅。お隣さんだよ


Face_kenichi

【謙一】

お隣ってことは……特B、か


Face_mera

【目羅】

その通り、特Bだ


Face_mera

【目羅】

いわば……君らの対抗勢力さ


Face_fui

【譜已】

対抗、勢力……?


Kenichi

 ……そう云う小松の左手は、一枚の紙を摘まんでいることに気付いた。


Face_kenichi

【謙一】

それは?


Face_mera

【目羅】

ああ、コレを渡すために私はここに来たんだよね。どうぞ


 そのA4の紙を受け取った謙一は、譜已と一緒に内容を見る。


 「特変破り申請完了用紙」


申請完了用紙(合唱祭)


Face_fui

【譜已】

え、え……!?


Face_kenichi

【謙一】

特変破り……


Kenichi

 別に、特変破りは制度で保証されてるんだから驚きはしない。
 だが俺はそのタイトルを見て、「ハッ?」となった。


Kenichi

 これは、「特変破り申請完了用紙」なのだ。


Face_kenichi

【謙一】

俺、こんなの認めた覚えないんだけど


Face_mera

【目羅】

それも制度上あり得る話だ。何故ならば――


mera_enemy


Face_mera

【目羅】

私たちは、お隣さんだからだ


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